2020.10.26 議会改革
第13回 自治財政における議会の役割を再認識する
5 議会による決算の認定
決算は、一会計年度の歳入歳出予算の執行の実績を表示するため調製される計数表であり、それぞれの会計ごとに調製されるものである。決算の認定については議会の権限とされており、予算議決権と対をなすものといえる。
決算は、事後的財政報告であり、違法又は不当な支出があっても、その効力を失わせるものではないが、その一方で、単なる報告ではなく、決算において予算執行の実績が示され、それが検討されることによって、財政上の責任が明らかにされることになるものである。また、決算は、次年度予算の調製・執行の際の指針ともなるほか、議会が執行機関による予算の執行状況を事後的に監視する手段・機会となるとともに、次年度以降の予算案に関する審議を行うための参考となる情報や判断材料を提供するものともなる。
決算は、会計管理者が、毎会計年度、出納の閉鎖後3か月以内に調製して、証書類や歳入歳出予算事項別明細書、実質収支に関する調書、財産に関する調書などの附属書類と併せて、長に提出しなければならないものとされている(6)。決算調製の期限が定められているのは、早期に調製を終了させて、次年度以降の予算編成や議会による予算審議に資するようにするためである。会計管理者から提出のあった決算及び附属書類は、長が監査委員の審査に付すものとされている(7)。
その上で、長は、監査委員の審査に付した決算を、監査委員の意見を付けて、次の通常予算を審議する会議までに、議会の認定に付さなければならない。決算を議会の認定に付すにあたっては、長は、決算のほかに、その決算に係る会計年度における主要な施策の成果を説明する書類、歳入歳出決算事項別明細書などの附属書類も併せて提出しなければならないものとされている。このほか、基金の運用状況を示す書類、当該自治体と特別の関係にある法人の経営状況を示す書類(8)、信託に係る事務の処理状況を説明する書類の議会への提出、継続費・繰越明許費・事故繰越の計算書等の作成と議会への報告なども義務付けられている。
議会における決算の審議においても、委員会に付託されるのが一般的であるが、予算の審議・議決を行った委員会で審議が行われるのが一貫していることなどもあって、予算特別委員を務めた議員が決算特別委員も務めたり、予算決算に関する委員会を常任委員会あるいは特別委員会として設置するなどの取組みを行っている議会もある。
議会は、決算書等について、予算の執行が適正かなど、住民の代表機関として大局的な見地から審査を行うことになる。その場合、必要に応じ、検閲検査権や監査請求権を行使することなども考えられるが、検閲検査を行うには議会の議決を要するものの、その権限の行使について委員会に委任することもできる。ただ、書類等の提出又は報告の請求をされた執行機関は正当な理由のない限りこれを拒むことはできないとされる一方、専ら書面による検査とされており、実地検査を行う必要がある場合には、監査請求により監査委員に行わせるか、100条調査権を行使することが必要となる。