2020.10.26 議会改革
第13回 自治財政における議会の役割を再認識する
この点に関連し、2017年の地方自治法の改正では、長等の自治体に対する賠償責任に関し、条例で定めることにより、その職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償責任を負う額から、その職責その他の事情を考慮して政令で定める基準を参酌した上で条例で定める額(最低責任負担額)を控除して得た額について免責できるとした(243条の2)。他方、議会による権利放棄については、住民監査請求があった後に、損害賠償等の請求権その他の権利の放棄に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならないことを定めるにとどまり(242条10項)、地方制度調査会の答申で求められていた訴訟係属中の損害賠償請求権の放棄の禁止については規定されるには至らなかった。ただ、免責制度との整合性なども考慮するならば、故意・重過失の場合の請求権放棄や最低責任負担額部分の放棄については慎重な対応が必要となるなど、議会の側には住民の代表機関として責任をもった対応が求められているといえるだろう。