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2020.10.26 議会改革

第13回 自治財政における議会の役割を再認識する

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 加えて、地方税条例については、毎年度の税制改正のための地方税法改正が前年度の3月末のギリギリに成立するのが一般的となっていることなどもあって、長の専決処分により改正されることが多い。
 他方、自治体において独自に課すのが法定外普通税と法定外目的税であるが、財源確保にはおのずと限界があり、限定的なものとなっている。議会が、これを主導するようなことはほとんどなく、逆にしばしば住民の負担回避の方向に走るようなケースが散見される。
 地方税において、自治体議会の影は薄く、「代表なくして課税なし」といったことは自治体議会にはあまり当てはまりそうにない。
自治体財政のあり方としては、できるだけ自らの歳出は自らの財源で賄い、受益と負担の明確化を図ることが理想である。そのためにも、地方税源の充実が課題となっており、そこでは、自治体が税の面でも創意工夫を活かすことができるよう、自主課税権の拡大を図る必要なども論じられている。国と地方の財源配分・地域間における税源の偏在の問題や様々な利害が絡み、その改革は容易ではないが、この問題においては、自治体議会の実力やあり方も問われることになってくるといえるだろう。
 また、分担金・使用料・加入金・手数料に関する事項についても、条例で定めるものとされており(地方自治法228条1項)、議会が決定する。ただし、手数料については、全国的に統一して定めることが特に必要と認められる標準事務について手数料を徴収する場合には、政令(地方公共団体の手数料の標準に関する政令)で定める手数料の対象事務・金額を標準として条例を定めることが求められている。
 さらに、自治体の借入金でその償還が一会計年度を越えて行われる地方債(3)については、予算で定めるものとされており、予算では起債の目的・限度額・起債の方法・利率・償還方法が定められる(地方自治法230条)。議会は、予算の審議を通じて、地方債のチェックを行うことになる。
 なお、自治体が、起債や、起債の方法・利率・償還方法の変更をしようとするときには、軽微な場合等を除いて、都道府県と指定都市の場合は総務大臣に、その他の市町村の場合は都道府県知事に協議しなければならない(4)。起債などについて総務大臣や都道府県知事に協議をした場合に、その同意が得られれば、公的資金の借入れなど一定の有利な扱いを受けることができるが、同意が得られなかったとしても、議会に報告することを条件に、民間資金を調達することで起債等を行うことは可能とされている(地方財政法5条の3)。
 会計年度内に償還される一時借入金に関しても、予算で定められる借入れの最高額だけでなく、その適正な行使についても、議会のチェックが重要となる。
 自治体の財政の健全性に大きな影響を与える資金の借入れに関する議会の役割・責任は小さくない。

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