2020.10.12 議員活動
第1回 政策課題と議論
3 複雑に絡み合った地域の政策課題
政策課題は、課題抽出に始まり、選択肢作成、決定、実施、評価という政策過程を経て見直しが行われる。自治体議会及びその構成員である自治体議員は、地域の政策課題を認識しなければ保有する権限をもってしても市民の信託に応えることはできない。地域に生活する市民一人ひとりが持つ課題は異なる。そして、地域は広範にわたり深淵(しんえん)なる歴史を持ち複雑に絡み合っているのであるから、自治体議員が地域の政策課題を十分認識すべきことは当然であるといえよう。その認識は歴史軸と空間軸から通時的かつ共時的に、また俯瞰(ふかん)かつ虫瞰(ちゅうかん)していることが必要となる。もちろん、マジョリティの課題そしてマイノリティの課題という視座も忘れてはならない。それでは、自治体議会そして自治体議員は、どのように地域の政策課題を把握することができるのであろうか。
4 自治体議員一人の限界を超克する議論
自治体議員が当選して初めて知った課題も多いであろう。自治体議員一人ひとりの能力には限界がある。その限界を超克するには議論が求められる。「三人寄れば文殊の知恵」のことわざのとおり、議論の中から新しい知恵が生まれてくる。議論は議員一人ひとりの限界を超克する。課題を超克するには議論が必要である。
また、自治体に関する政策主体は多様である。市民(個人・団体・法人)、議会(議員)、行政(首長等・職員)が主な政策主体といえるが、他の自治体や国そして国際機構も自治体に影響を与える。ただし、本稿では、市民、議会(議員)、行政(首長・職員)を中心に論を進める。
5 誰と議論するのか
では、自治体議員は、どのような主体と議論することが求められるのか。昨今の議会改革では改革を表2のように、①議会内部についての改革、②市民との関係についての改革、③行政との関係についての改革、に分けられる。このことから、自治体議員には、①議員同士の議論、②市民との議論、③行政との議論が求められていることが把握できよう。