2020.09.25 議会改革
第12回 条例づくり10箇条
8 憲法や法の一般原則との適合性、国法との調和性に留意する
条例は、憲法や法律と適合的なものである必要があり(法適合の原則)、憲法や法律に反する条例は、違法・無効である。上乗せ、横出し、法律が定める事務に関する規定の追加は認められるとしても、法律の趣旨に反したり、矛盾したりするものは、違法とされる可能性が高いといえる。国の法令との関係については、抑制的・逃避的となるのも、対抗意識丸出しとなるのも妥当ではなく、法令の適切な解釈を通じて条例の制定の余地を検討・工夫し、両者を調和させることが大事である。
また、条例も法の形式である以上、法の一般原則に適合し、法的な適格性を備えたものであることが求められる。例えば、法は、一般性、不遡及性、比例性などを備えるとともに、法的安定性や信義則に反するもの、ないし権利を濫用するものであってはならないのであり、例外が許されないわけではないが、基本的にそれらの要請に即したものとしていく必要がある。
この点、条例については、地域的限定性や住民との距離の近さなどから、条例による地域的な問題への対応が、狙い撃ち的・後出し的なものとなることもある。これを条例の宿命とする見方もないわけではないが、やはりそれにも法的な限界があるのであって、一般性(あるいは普遍化可能性)や法的安定性などについて十分に配慮することが必要である。狙い撃ちや後出しの条例が認められないわけではないものの、それらを考慮することなく条例が制定された場合には、条例あるいは自治体の対応が違法とされ、その責任を問われることにもなりかねない。
このほか、条例については、他の自治体法(関係法令・例規)との整合性・比例性、一貫性なども求められるのであり、全体として見た場合に矛盾した制度やバランスを欠いた制度、朝令暮改は人々に戸惑いや混乱をもたらすおそれもある。
実は、条例をめぐってはその違憲性や違法性が訴訟で争われることも少なくなく、条例の規定が違法とされた例、不十分であるとしつつ合憲的合法的とするための解釈を施される例なども散見される。条例の制定にあたっては、訴訟リスクにも留意すべきであり、また、過去の事例や判例から学ぶべきことも少なくないといえる。