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2020.09.25 議会改革

第12回  条例づくり10箇条

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7 政策手法を駆使しつつ、制度設計的な視点に立って構想・構築する

 条例の内容の検討にあたっては、問題や現実などに照らしてどのような手段を用いるのがよいのか、考えをめぐらせ、政策手法を駆使することが必要である。
 行政が果たすべき役割の拡大、社会の多元化・複雑化・高度化、科学技術の発達、国家の社会に対するかかわり方の変化などに伴い、新しい政策手法が次々と開発され、政策手法が多様化・複合化しているほか、近年は、伝統的な許認可、基準の設定、命令、行政強制、刑罰などの規制的・強制的な手法(ハードな手法)だけでなく、補助金、税、情報提供、あるいは契約的手法、市場原理等を組み込んだ措置など様々な誘導的・経済的な手法(ソフトな手法)が用いられる傾向が見られ、とりわけ、人々にいかにインセンティブを与えて誘導していくかという視点が重要となっている。そして以上の点からは、情報のもつ意味が増大しており、必要な情報をいかに収集し、提供し、あるいは社会に開示・提示させるかということが政策を推進する上での鍵となることも多い。
 刑罰や行政強制の機能不全など、伝統的なハードな手法の実効性や限界などがいわれる(特に条例が定める刑罰については捜査機関により発動される可能性が低いともいわれる)中で、今後とも、ソフトな手法を中心に政策手法の開発・多様化が進んでいくものと思われるが、そのことは強制的な手法が直ちに主役の座から退くことまで意味するものではなく、また、ソフトな手法だからといって実際に強制的な要素が薄いとは限らないことにも注意が必要である。
 その点では、事案や事柄に応じてハードな手法とソフトな手法をうまく使い分けたり、組み合わせたりしていくことが重要であるとともに、設定された目的の実現ないし問題の解決のために、いかなる手法が有効であり、それをどのように組み合わせてより機能的・効果的なものとするか、さらにはそれをどのような体制・機構・手続の下で実行し、作動させ、適正に運用させるようにするのか、他の制度とどう連関させ、協働させ、調和させていくのか、などといった制度設計的な視点が必要となる。なお、現代においては、政策の内容だけでなく、国民の権利保障・透明性の確保・国民参加の観点から、手続の法定化・適正化・民主化が重視されるようになっており、問題が生じた場合の救済手続なども確保されることが必要である。
 そして、そこでは、木を見て森を見ないような狭い視野に立つのではなく、木を見て森も見て、バランス感覚を働かせ整合的・体系的な制度を目指すようにすることが大事といえる。また、政策手法のメニューを豊富にし、その中から選択したり組み合わせたりすることを可能とする環境を整備していくことも重要であり、そのためには、情報の発信・集積・分析、政策的なネットワークの形成などによる情報やノウハウの蓄積・共有化が必要となってくるだろう。

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