2020.09.25 議会改革
第12回 条例づくり10箇条
10 PDCAサイクルを回す
問題に対処するため条例を制定する場合には、慎重な検討が必要となるとしても、それは、限られた時間・情報・能力の中で行われるものであることは否定できず、ましてや、条例とされたものが、唯一絶対のものではなく、また、所期の効果を発揮するとも限らない。社会の複雑化や科学技術の高度化などに伴い、問題の困難性や不確実性が高まっており、制定後の社会状況の変化などもある。そして、そのようなことからするならば、決定にあたりできるだけ多角的な議論が行われるだけでなく、その完全とは言い難い決定を補完し、あるいはその後の変化に対応するために、常にフォローアップを怠るべきではなく、その検証を通じてそれをよりよいものへと改善していくことが重要となる。
一歩前進的あるいは妥協的な対応については批判がなされることも少なくないが、そもそも、問題が複雑化し、意見や利害の調整の困難さが増している現代においては、「漸進主義」が一つの知恵ともなっているのであり、また、条例は、制定すればそれで終わりではなく、状況や効果を見定めながら条例を育てるようにしていくことなども必要である。
そのためにも、条例について、企画立案(plan)→制定・実施(do)→評価(check)→見直し(action)のPDCAサイクルを確立し、定着させていくことが必要である。
その場合に、条例の制定の効果や執行状況などの検証・評価をどのように行っていくのか、考える必要があるが、執行を担う所管課で行うのはもちろんのこと、外部の目も必要である。執行部において何らかの組織や仕組みの整備を考えることも必要だが、議会においてもそのような取組みを行っていくべきである。そして、その結果については、必ず公表されるとともに、必要に応じて執行の改善や制度の見直しなどにつなげていくことが重要となる。
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