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2020.08.25 議会改革

第11回  自治立法における議会・議員の役割─議員提案条例をどう活用するか─

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4 議員提案条例の進め方と体制

 議員提案条例に取り組んでいくためには、その意義やあり方に関する認識の共有化を図った上で、その進め方や体制について工夫・整備していくことも大事であり、ここでは、その点について考えておきたい。

(1)どのような形で条例づくりを進めるか
 条例は、①議会への発案、②議会での審議・議決、③公布といった手続を経て制定されることになるが、議員が提出する場合には議員定数の12分の1以上の賛成が必要とされており、また、このほかに委員会が条例案を提出することも認められている。
 このようなことからすれば、議員個人が中心となって条例づくりを進める場合(議員個人中心型)でも、それに賛同する議員を確保することが必要になってくる。どのようにして仲間を増やしていくかということは、議員提案において最も大事なポイントとなる。
 その場合に、所属する会派の議員に呼び掛けることも多いのではないかと思われるが、さらに一歩進め、会派を舞台に取り組み、会派の提案として取りまとめることもあるだろう(会派中心型)。
 また、問題によっては、会派ということではなく、それに関心をもつ議員に広く呼び掛け、議員連盟や議員勉強会といったものをつくり、その場で検討を進めることも考えられる(超党派型)。公的な色彩をもたせるため、議会において、協議会やプロジェクトチームなどの検討の場を設定することも一つの手である。
 そのほかに、委員会での検討を通じた条例の作成(委員会型)という方法もある。委員会提出条例の場合には、議員提案の場合と比べ、成立の可能性がより高まることになる。
 なお、いずれの場合であっても、仲間内だけの閉鎖的な検討・作業とならないようにすることが大切である。

(2)プロセスの重要性を理解し、その可視化を図る
 議員提案の場合には、長提案の場合のように立案のシステムやプロセスが整備されパターン化されているわけではないが、そのプロセスを大切にし、透明性や開放性を確保することが重要となる。
 国の議員立法の場合にはそのプロセスが見えにくいとの批判がなされることもあるが、議員提案条例の形をとったらプロセスの可視性が低下する、不透明となるというのでは、本末転倒であり、そのような事態は避けなければならない。
 議員による条例づくりをどのような形で進めるにしても、住民への情報発信と説明がポイントとなり、そのことが成立への近道ともなると考えるべきである。(4)で述べるように、住民を巻き込むことなども必要となる。
 議員提案の場合にも、公開の場での議論が確保されることが求められるのであり、議論を尽くし、説明責任を果たすことが必要不可欠である。その点では、議会での審議が行われるのは当然であり、超党派型や委員会型のように多くの議員が賛同する場合であっても、正式な議会審議がほとんど行われないといったことにならないようにすべきである(6)。そこでは、議員間の討議がしっかりと行われるだけでなく、執行機関や住民も加わった議論が行われることも必要である。
 いずれにしても、長提案条例とは異なる特徴や意味をもつようなプロセスを工夫していくことが、議員提案条例の意義を高め、両者の役割分担にもつながっていくことになるといえるだろう。
 

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