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2020.07.27 議会改革

第10回 条例をどう使いこなしていくか

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3 条例の特性を知る

 条例を上手に使っていくためには、その特性について理解しておくことも重要である。すでに触れた点も少なくないが、ここで改めて整理しておきたい。ただし、特性といっても、それは、国の法令との比較などによる相対的なものであり、広域自治体と基礎自治体、自治体の規模などによっても異なりうる。また、それに伴うメリットはデメリットと裏返しのものであることにも留意する必要がある。
 条例の特性としては、例えば次のようなものを挙げることができるだろう。
 第1は、地域性である。いうまでもなく、条例は自治体の法であり、地域における法である。これにより、適用範囲が限定的となり、比較的見通しや小回りが利くものの、適用対象については個別性を帯びやすいことにもなる。
 第2は、近接性である。条例は人々に身近な法であり、このことは、応答性の高さやきめ細やかさに結び付き、効果が直接的なものとなりやすい。しかし、その一方で、対象となる者との距離が近く、人権保障のための距離が不足しがちとなる。そして、上述の個別性とも相まって、狙い撃ちや後出しといったことなども生じやすくなる。
 これらの地域性と近接性は、条例の基本的な属性であり、以下はそれらから派生するものといえる。
 第3は、機動性である。このことは、迅速かつ効率的な対応を可能とするが、逆に、拙速なものとなったり、検討・調整の不足や一時的な感情による情緒的な対応を生じるおそれもある。
 第4は、柔軟性である。このことは、弾力的な対応に結び付き、試行錯誤的あるいは多様な対応を可能とするが、逆に、制度が不安定で一貫性を欠いたものとなりやすい面もある。
 第5は、先行性である。新たな問題や行政需要の多くが地域で起こるものであることからは、その自治体が他の地域や国に先行して対応を迫られることになり、そこでは実験的な対応なども行われることになる。このことは、暫定性とともに発展性をもつことになり、それが各地の自治体に広がりさらに発展し一般化していくこともある。しかし、その一方で、制度的には不完全なものとなり、整合性を欠くようなことも見受けられる。
 このほかに、総合性が挙げられることも少なくない。縦割りとなりがちな国の法令や行政を自治体において総合化することが可能とするものだが、現実には、自治行政や条例も縦割りとなりがちであることは否めない。
あり方10-2

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