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2020.06.25 議員活動

第3回 災害が発生したときの制度と仕組み

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第6講 防災の基本的法制度③──災害対策基本法(その3)(被災直後の対応)

 災害時に避難した住民の安全が確保されると、被災者の救助・保護と復旧に向けた取組みに重点は移っていくこととなります。被災した地域の復旧、復興については、個別の法律に多くの部分が委ねられていますが、災害対策基本法では、枠組み的に次のようなことが定められています。

1 機動性と効率性を求められる行方不明者等の捜索・救助活動
  災害による危険のピークが過ぎると、二次災害を避けながら行方不明者等の捜索・救助が行われます。捜索・救助活動には、災害派遣の自衛隊、警察、消防などの実動部隊が中心になりますが、自衛隊については災害派遣の際の権限として、警察官と同様に避難や土地立入などの権限行使が認められ(3)、警察官は本来業務としての避難等の強制措置、土地立入の権限が認められ、消防も本来業務としての災害時の人命救助を行うこととされ、各機関が連携して捜索・救助活動を行います。また、傷病者が適切な医療を受けられるよう搬送や医療機関との連携も重要です。
 大規模災害の場合、自治体、特に都道府県の防災部署の危機管理責任者は、いわば参謀として、それぞれの部隊が効率的に活動できるように資機材の調整や展開場所の相互調整、要員の配置、医療機関との調整など毎日の捜索・救助計画の企画立案を中心的に行います。

2 被災者の安全確保のための特例措置と自治体対応
 災害対策基本法では、住民の避難や安全確保等のため、各種の特例が設けられています。
 道路については、警察官、道路管理者等は、緊急通行車両の通行等のため、車両や路上の物件の移動、除去などの命令、自力執行が認められています(76条の3、76条の6など)。
 また、避難所等が不足した場合に追加指定した避難所については、消防設備の基準が緩和されたり(86条の2第2項)、被災者の医療や生活衛生の確保ため、臨時の医療施設(86条の3)、被災した遺体の埋葬(86条の4)、災害による廃棄物の処理(86条の5)について、法律による手続や基準の一部を緩和する特例を設けています。
 自治体では、これらの特例措置を理解し、実際に災害が発生した際に、特例的な手続をどのようにするのか、また臨時の施設をどこに設置するのかなどのシミュレーションをした上で、地域防災計画等で定めておくことも必要となります。さらに、被災後は、多くの自治体職員が、避難所等に張り付くこととなるため、小規模自治体では、受援の調整等の災害対応の企画的業務の要員が不足するといわれているので、災害時の業務バランスを平時から考えておくことも大切です。
 

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