地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2020.05.25 政策研究

第2回 歴史に見る防災復興の制度と仕組み

LINEで送る

第4講 防災の基本的法制度①──災害対策基本法(その1)

1 災害対策基本法の位置付けと性格
  我が国の災害法制の基本となる「災害対策基本法」(以下「災対法」といいます。この条文を指摘する場合、その条名のみを記します)は、伊勢湾台風での教訓をもとに制定されましたが、大規模災害への対応は、ハード・ソフトの両面の総合的な政策を短期間に総動員させなければならないという点で、総合政策そのものであり、行政にとっては総力戦です。災対法は、1条の目的において「防災に関し、基本理念を定め、……必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定める」(下線筆者)と規定しているとおり、災害対応全般にわたる事項が定められており、次のような法的性格を持つとされています(8)

(1)災害法令の一般法
 我が国の災害法制は、明治期以来、個別法に基づく事務が所管官庁ごとに定められ、これらを調整する制度的な仕組みが存在しませんでした。しかし、1959年の伊勢湾台風による大きな被害を受けて、大規模災害では様々な取組みを総合的に調整しながら進めることが求められ、災対法が災害法令の一般法としての性格を有する法律として制定されました。

(2)災害予防から復旧活動までを規定する総合法制
 災害予防(46条〜49条の13)として、防災計画の策定、防災教育、防災訓練、物資の備蓄など、災害応急対策(50条〜86条の18)として、警報伝達、避難指示、自衛隊の災害派遣要請、避難所開設、災害復旧(87条〜90条)などが定められており、災害予防から当面の災害復旧までをカバーする総合法制としての性格を有しています。

(3)国・地方、関係機関を通じた行政対応を定めた基本法
 国、地方自治体等の責務・役割が規定されており(3条~7条)、防災行政に関して関係機関の調整推進を図るため、国、都道府県、市町村のそれぞれに防災会議を設置することとされているほか、災害発生時の施策決定の組織として国、都道府県、市町村に災害対策本部を設置することが定められています(11条〜28条の6)。災害予防から災害復旧に至る行政、関係機関の取組事項が規定されており、国・地方、関係機関を通じた災害対応を定めた基本法としての性格を有しています。

(4)新たな災害の教訓を生かし続けて進化する法律
 災対法の制定後も、毎年のように災害が発生し、それを教訓に逐次法改正による制度の拡充整備が図られてきています。例えば、2013年の改正では、東日本大震災の経験を踏まえて、基本理念(2条の2)として「減災」(同条1号)、「自助、公助、共助」(同条2号)、「ソフトとハードの組合せによる見直し」(同条3号)などの考え方が盛り込まれました。一応、PDCAサイクル(Plan−Do−Check−Action)が機能し、逐次改善が行われている法律であるということができます。
 

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る