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2020.05.11 議会運営

第11回 議会による行政監視

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行政監視の手段②──調査権

 相手の行動をチェックするためには、その中身を知る必要があります。地方自治法(以下「法」といいます)は議会に対し、そのための具体的な権限を議会側に与えています。調査権と呼ばれるものです。
 まず、議会は、当該自治体の事務に関する書類や計算書を検閲したり、執行機関に報告を請求して、行政事務の管理や議決の執行状況などを検査したりすることができます(法98条1項)。この検査権は書面によるものであり、いわゆる実地検査はできないとされています。
 また、議会は、当該自治体の事務に関する調査を行うことができます(法100条1項)。いわゆる「100条調査権」で、こちらは実地検査を含むものとされているほか、調査を行うために特に必要があると認めるときは、関係人の出頭や証言あるいは記録の提出を求めることができます。この権限は、相手方が正当な理由なくこれを拒否すれば議会の告発を経て罰則が科される(同条3項、7項など参照)という強力なものです。
 以上の権限の主体は「議会」ですから、その行使には議会の議決を要しますが、実務では、その権限を小回りの利く委員会に委任する旨を併せて議決することが多く行われます。「百条委員会」は、法100条の調査権の行使を議会から委任された委員会のことです。 このほか、委員会(常任委員会、特別委員会、議会運営委員会)は、その所管する事務に関して調査することができます(法109条2項〜4項)。所管事務調査と呼ばれるもので、委員会の議決により行使できます。
 なお、法律上は「議員の調査権」に関する規定はなく、議員個人や会派が執行機関に対して情報提供などを求めることは事実上の行為にとどまるものと解されます。

行政監視の手段③──外部パワーの活用

 議会は、自ら調査するほか、外部のチカラを活用して行政事務に関するチェックを行うこともできます。
 法98条2項は、議会は監査委員に対して当該自治体の事務に関する監査を求め、その結果の報告を請求することができると定めています。同条1項の検査権と異なり、監査委員による監査は実地で行うこともできます。
 また、議会は、学識経験者などに専門的な事項について調査をさせることができます(法100条の2)。
 このほか、議会改革を進める中で、議会が大学等と協定を締結して地域の課題解決や政策の形成などについて相互協力する例も見られます。こうした取組みもまた、外部のチカラを議会に取り込み、行政チェックのレベルアップを図る一つのアプローチといえるでしょう。

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