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2020.04.27 政策研究

第1回 防災・復興学へようこそ

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2 災害からの学びを生かす「カイゼン・マインド」
 近年の我が国の災害の中で最も大規模なものというと大震災を挙げる人が多いと思います。筆者も、様々な自治体へヒアリング調査に伺っていますが、自治体の防災行政に関しては、大震災からの学びはかなり多くのものがあったと感じています。しかも、それぞれ
の自治体の実情に合わせて「カイゼン」していることが注目されます。ここでは二つの事例を紹介しましょう。

(1)災害対策本部の専用スペースの設置
 最近では、多くの自治体で災害対策本部の会議用及び事務局用の専用スペースが確保されており、災害時に迅速な対応が可能となるようハード的な整備が進められています。
 例えば、北海道庁ではこの専用スペースに、知事が即座に対応できるよう、幹部職員の座席、増設可能な通信回線、大型スクリーンなどが備えられていました。また、迅速な情報収集・整理や資料作成が行われ、幹部職員間で情報共有が可能となるよう、災害対策本部スペースに近接して事務局スペースも確保されていることが注目すべき点です。なお、これらのスペースは原則、他用途には使用させていないとのことでした。大震災では、自治体の庁舎が津波の被害を受け、施設自体が使用できなくなったほか、首長や幹部職員が犠牲になった事例もあり、災害時の司令塔の役割を果たす自治体庁舎のハード面の重要性が認識されました。このような認識が各自治体での整備につながったものと考えられます。
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(2)緊急時にはパソコンよりゴム・スタンプ
 
災害発生時には、自治体では短期間に多くの情報を収集・整理することが求められます。
 例えば、愛媛県では細かい工夫ですが、被災状況が日々刻々と変化する中で、紙媒体の資料を迅速に作成するためにゴム・スタンプを活用していました。非常時では、迅速に情報整理するためには、パソコン等の機器よりもむしろゴム・スタンプの方が役に立つとのことでした。このような、いわば「防災分野におけるカイゼン」のマインドは、一朝一夕に身につくものではなく、ヒアリングした自治体では、防災所管課に比較的長く在籍した職員がおり、これらの職員の提案によることが多かったようです。カイゼン提案のできる防災職員の確保、養成が今後ますます重要となります。
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