2020.04.10 議会運営
第10回 議員報酬の減額・支給停止
議員の身分と議員報酬
議員報酬は「報酬」すなわち役務提供の対価とされており、議員が議会(特に本会議)に出席することは当然果たすべき仕事ですから、欠席した議員に対してその分の報酬を支給しないことは至極もっともな話です。
一方で、議員という身分は選挙を通じた住民の負託によるものです。法律上、議員の身分の喪失は、辞職や議会の解散、死亡による場合のほか、住民による解職請求(法80条)、被選挙権がないことあるいは兼業禁止(法92条の2)違反による資格決定(法127条)、除名の懲罰(法135条1項4号)などに限られています。そうすると、前述の法203条1項の規定も踏まえ、議員であるにもかかわらず議員報酬を減額する、あるいは支給を停止することができるのか、一度整理してみる必要がありそうです。
基本債権と支分債権
議員が議員報酬をもらう権利(請求権)は、性質上、二つに分けて考えることができます。一つは「議員でいる間、議員報酬をもらう権利」、つまり議員の身分と一体不可分の抽象的な権利と捉えるもので、このような権利を基本債権といいます。これに対し、「毎月◯日に当月分として◯◯円を受け取る権利」のように、基本債権の存在を基礎として、金額や対象年月、支払日などが具体的に決まっている請求権を支分債権といい、こちらは他人に譲渡したり、差し押さえたりすることができます。