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2020.04.10 議会運営

第49回 議会アドバイザーをどのように委嘱し生かせばいいのか

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回答へのアプローチ

  議会アドバイザーという言葉ですが、実は法律上の定義も根拠もありません。議会は、地方自治法100条の2(専門的知見の活用)を使って有識者に調査をお願いすることができます。また、議員研修の講師として研究者などを呼ぶこともあるでしょう。これらと議会アドバイザーとの違いが気になっているかもしれません。結論からいえば、違いがないともいえますし、違いがあるともいえます。
 まず、議会基本条例で議員アドバイザーという存在を規定している議会を調べてみました。鹿児島大学司法政策教育研究センターの「全国条例データベース」を使って、全国の議会基本条例の中で、議会アドバイザーの規定がある条例を検索してみると、11条例が見つかりました(1)。さらに、北海道の栗山町議会や芽室町議会のように、議会サポーターという名前の議会アドバイザーも存在します。こうしたものを入れると、おそらく15程度の議会が「議会アドバイザー」を条例化しています。しかし、議会基本条例に根拠がなくとも、議会アドバイザーの委嘱をしている議会はたくさんあります。その実数を示すデータを寡聞にして知りませんが、例えば山陽小野田市議会は、議会アドバイザー設置規程を設けて任期1年で委嘱をしています(ここ数年、アドバイザーは山梨学院大学の江藤俊昭教授と早稲田大学マニフェスト研究所事務局長の中村健氏です)。議会費には報償費として予算計上している経費があるはずです。報酬(謝礼)が発生しても、これなどを使ってその費用に充てることができます。こうしたことを踏まえると、回答はBということになります。

実務の輝き

 先ほどの疑問に戻ります。議会アドバイザーが専門的知見の活用や研修講師とどう違うのかということです。特定の調査や研修を依頼することは同じですが、議会アドバイザーは、継続的にその議会をウォッチしてもらいアドバイスをしてもらうという点が特徴的です。また、継続的に外部の知見を活用するという点では大学との連携でも同じなのですが、こちらは組織と組織との連携であり、◯◯先生という個人の知見に着目してのつながりではありません。逆にいえば、こうした要素さえ押さえていれば、様々な形での議会アドバイザーは存在するともいえるのです。地元の大学の教員を迎える場合もあれば、全国を股にかける研究者に委嘱する場合もあります。また、議会全般にわたるアドバイスを期待する場合もあれば、議会改革のうち、特定のことがらについての知見を期待する場合もあります。
 例えば、滝沢市議会基本条例では「議会アドバイザーは、議会全般にわたって、専門的な知識及び経験等を踏まえて助言、提言、指導等を行うものとする」(24条2項)とあります。また、芽室町議会のように、議会全般のほか、地方自治、財政、政策形成、ICTなどの有識者8人を議会サポーターとしてそろえ、議会の必要に応じて支援や研修を依頼している議会もあります(2)
 その一方で、舞鶴市議会のように、事業評価や市民参加に焦点を絞り、その有識者(京都府立大学・窪田好男教授)を議会アドバイザーに委嘱(令和元年度)しているところもあります。自分の経験でも、横須賀市議会において、初めての100条委員会の運営の支援のためとして議会アドバイザーを務めました。議会からの告発の可能性も踏まえ、弁護士と一緒でした(3)
 たくさんの議会アドバイザーを委嘱できる議会はまれです。ですから、議会アドバイザー制度の導入に当たっては、どんな案件について、どんな形で議会にコミットしてもらうかを決めて適任者を探すのがいいでしょう。まずは議員研修などをお願いして、議会との「相性」を確認することも重要かと思われます。また、アドバイザー委嘱後は、調査の成果などを研修という形で議会や住民に還元したいものです。事実、アドバイザーの役割を研修とひも付けて規定している議会基本条例もあります。

○訓子府町議会基本条例
 (議員研修の充実強化)
第18条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を目指し、議員研修の充実強化を図るため、別に定める訓子府町議会議員研修要綱に基づき計画的な議員研修を実施する。
 2 議会は、広く英知を結集し、研修の充実強化を図るため、町内外の協力者を議会アドバイザーとして、その協力を得ることができる。

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