予算案の分割付託は避けた方がよい理由
これは、連載「予算修正のすゝめ」でも触れた論点であるが、予算案の分割付託方式は、避けるべきだ。
筆者のように、予算の修正に取り組んできた立場からいえば、分割付託してしまうと、予算修正がやりにくいことがよく分かる。理由は簡単で、歳入と歳出が分離して議論されてしまうからだ。
修正のやり方にもよるが、減額修正の場合も増額修正の場合も、歳出部分とともに歳入部分も修正しなくてはならない。分割付託では、歳入部分は、総務を取り扱う委員会に付託される。したがって、修正箇所が総務委員会付託であれば、歳入歳出一体の修正案が同委員会から提案できるが、それ以外の委員会からは、修正提案は事実上できなくなる。もちろん、最終的に本会議に修正案提出という方法もあることはあるが、予算委員会であれば、すべての予算案についての修正提案が委員会から提出できる。本会議での修正提案を行う場合、提案者は所属委員会での賛否がどうであったか突っ込まれる。「委員会で賛成していたのに、なぜいきなり修正提案を出すのだ」と。苦し紛れに、「委員長報告を聞いて考えが変わった」などとやり返すことになる。そういう不毛な議論を避けるためにも、予算委員会での一括付託が重要ということだ。
修正もできず、附帯決議もつけられない場合はどうする
この事業だけは予算をつけたくない。しかし、奮闘むなしく、修正もままならず、附帯決議もつけられなかったらどうすればよいか。
賛成意見をいいながら、気に入らない部分について、問題を指摘するという方法もあるだろう。もちろん、反対意見として問題となる事業を指摘して、反対するという方法もある。こればかりは正解がない。現実的には、全体の予算の一部だけが反対にもかかわらず、すべて反対というのは、抵抗感があるだろう。また、議会によっては、別会派から攻撃を受ける場合もある。
筆者も1回だけ、修正案が通らなかったことから、予算案そのものに反対したことがある。なぜそうしたかといえば、修正を試みた事業は、本当に我が市にとって大きな禍根を将来残すと判断したからだ。この判断はいまだに間違っていなかったと思う。どうすればよいかは、その事業の有無による将来への影響力で判断するしかないだろう。現時点では10年後に後悔しない判断だと自負している。いつかはちゃんと反対するという議員は多い。しかし、いつかは、なかなかやってこない。予算審査に臨む皆さんの奮闘を期待します。