2020.02.10 議会運営
第48回 議員間討議はどうやれば定着するのか?
議会事務局実務研究会 吉田利宏
お悩み(条例制定議員 40代 市議会議員)
3期目の市議会議員です。初当選期に議会基本条例の制定にかかわりました。議員間討議の重要性についての規定を置きましたが、その後、請願をめぐって1度実施しただけで、どうも定着しません。ある議会へ視察に行きましたら、「議員間討議は、自然発生的に行われるものだ」との説明を受け、納得した同僚議員もいました。しかし、私はしっかりとそのルールを定めない限り議員間討議は定着しないと考えております。何かアドバイスをいただけましたら幸いです。
回答案
A 会議規則に規定するのは一定の実績を積んで定着した後でもよいが、まずは想定される場面を意識しながら実施要綱などを定めることが重要である。
B 議会基本条例で規定したとしても、それは導入の宣言にすぎず、会議規則で位置付けてこそ実施が行われるものである。
C 議員間討議は様々な場面で利用が想定されるため、ルール化になじみにくい。自然発生的に行われ慣例化するのを待つのが一番である。
お悩みへのアプローチ
「それをいっちゃぁ、おしまいよ」。フーテンの寅さんならそういうかもしれません。議員研修会などで、議員間討議の重要性や意義を説明して議員一同、得心したタイミングで「ところで、議員間討議って、どうやればいいのでしょうか?」との質問が出ることがあります。
こうしたとき、その無邪気な質問をした議員をキッとにらむ議員も必ず存在します。「そんなことは我々で考えて工夫することだろう」と目が語っています。これはこれで議員としての矜持(きょうじ)といえるかもしれません。ただ、「どう始めていいのか分からない」ために、議会基本条例で定めても本格的な実施がされない議会は意外に多いような気がします。こうした議会でも「議員間討議をしたことがありますか?」と尋ねられれば、YESと答えます。「そういえば、昔、請願の取扱いをめぐって、委員会でA議員とB議員が議論したことがあったっけ」、「議院運営委員会ではいつも委員同士で日程協議しているぞ」などというのかもしれません。これも議員間討議といえばそうですが、その程度では、議会基本条例が求める議員間討議が実現できているとはいえないでしょう。