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2020.02.10 議員活動

公職の候補者は個人宅、旅館、会社等で 個人演説会を行うことができるか/実務と理論

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内閣府地方分権改革推進室 辻下美智子

1 はじめに

 本年7月に行われた第25回参議院議員選挙の投票率は48.80%と、24年ぶりに50%を下回り、国民の関心の低さをうかがわせる結果となった。
 そのような中であっても、候補者が選挙で票を獲得するためには、自己の氏名や政策の認知度を高める必要があり、そのために選挙運動用自動車上における連呼行為や個人演説会、街頭演説など、様々な選挙運動が行われるが、その方法等には公職選挙法(昭和25年法律100号。以下「法」という)上、様々な制限があり、戸別訪問については、法138条1項において禁止されている。
 本問では、公職の候補者は個人宅、旅館、会社等で個人演説会を行うことができるかについて、戸別訪問の禁止との関係等から検討する。
 なお、文中意見にわたる部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りさせていただく。

2 公営施設使用の個人演説会

 公営施設使用の個人演説会については、法において、①学校及び公民館、②地方公共団体の管理に属する公会堂(「県民会館」・「市民ホール」等)並びに③①・②のほか、市町村の選挙管理委員会の指定する施設を使用して開催し、選挙のための演説を行うことができるとされている(法161条1項)。また、法166条において、法161条の規定により個人演説会等を開催する場合を除くほか、国又は地方公共団体の所有し又は管理する建物において選挙運動のためにする演説及び連呼行為を行うことは禁止されているが、公営住宅についてはその例外として、個人演説会の開催に加えて、選挙運動のためにする演説及び連呼行為を行うことが可能である。
 なお、汽車、電車、乗合自動車、船舶(選挙運動用船舶を除く)及び停車場その他鉄道地内並びに病院、診療所その他の療養施設においては、国又は地方公共団体の所有し又は管理する建物でなくとも選挙運動のためにする演説及び連呼行為を行うことは禁止されている(法166条)。これらの施設で当該行為が禁止される理由は、いずれもその施設の性質から、施設が本来の目的のために利用されるべきであって、選挙運動のための演説及び連呼行為が自由に行われる場合には、その目的が著しく損なわれるおそれがあるためである。

3 公営施設以外の施設使用の個人演説会

 一方、公営施設以外の施設使用の個人演説会については、開催する「施設」の種類に関して特段規定がない(法161条の2)。よって寺院や劇場、個人宅を含む民間施設を使用して、個人演説会を行うことが可能である。なお、施設とは、建物その他の施設の構内を含むものであるため、建物に限らず、建物以外の施設の構内を使用して個人演説会を開催することもできる。これらに該当しない場所で個人演説会等を開催することはできない。このような場合は、むしろ街頭演説になるものと解すべきであり、したがって、法164条の5の規制に従わなければならないものと解されている。

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