4 議員(委員)間討議と要望的意見
予算審査・決算審査の具体的な流れについては以上のとおりであるが、本市議会における議案審査の特徴として、各段階における議員(委員)間討議を位置付けている(図4)。
議案審査は、ともすれば執行機関に対する質疑に終始しがちであるが、本市議会では議員相互の議論が重要であるとの考えのもと、議員(委員)間討議を位置付けている。
政策サイクルを回していくためには、市民意見という政策情報を議会における政策形成に反映させ、さらにその結果を市民へ説明していくことが必要である。
議決に対する説明責任を意識し、その責任を果たすため、議員(委員)間討議により、議論を尽くし、何を論点としてどのような審議を行い、その経過の中では何が争点となったのか、何を合意点として確認したのかを説明することができなければならないと考える。
さらに、本市議会では、議決に当たって執行機関へ議会としての意思を示す方法として、附帯決議のほかに、議員(委員)間討議を踏まえてとりまとめる要望的意見を位置付けている。これは、原案には賛成するが、予算の執行等に当たっては議会からの意見を尊重するように、という議会からの「意見」という形での意思を伝えることが重要であるとの考えからである。
【平成31年2月定例会における当初予算の審査を通してとりまとめられた要望的意見】
○予算決算委員会第1分科会
・市債管理のあり方について
○予算決算委員会第2分科会
・学校図書館の充実のための学校司書の配置について
・保健センターのあり方について
・子育て世代包括支援センターの役割と有機的な組織連携について
○予算決算委員会第4分科会
・雪対策における予算措置のあり方について
・公営住宅等長寿命化計画の見直しに向けた検討について
5 おわりに
以上、会津若松市議会の政策サイクルと予算審査・決算審査の取組みについて説明した。政策サイクルについては、各ツールが有機的に連動するよう制度設計されているが、本稿において、その詳細について説明することは難しいため、概要の記述とさせていただいた。
本市議会における議会改革の経緯や、理論的支柱、具体的な取組みの詳細については、会津若松市議会編集『議会からの政策形成─議会基本条例で実現する市民参加型政策サイクル』(ぎょうせい、2010年)及び同『議会改革への挑戦 会津若松市議会の軌跡─市民の意見を起点とし「課題解決」を図る議会へ』(ぎょうせい、2019年)に詳述しているので、本市議会の取組みに興味を持たれた方は、ぜひお手にとっていただければ幸いである。