3 予算審査・決算審査の取組み
(1)予算決算委員会の常任委員会化
市民意見を起点とする政策サイクルの確立と実践を目指す一連の議会改革の中において、予算審査及び決算審査についても改革が行われた。その大きな柱が、予算決算委員会の常任委員会化である。
本稿においては、予算決算委員会の常任委員会化に係る協議経過等については省略させていただくが、予算決算委員会の制度設計において考慮すべき論点として、「予算と決算を連動して審査することができる委員の継続性」、「委員会間における業務量のバランス」、「詳細審査・慎重審査の担保」が挙げられた。また、予算議案及び決算議案は2以上の委員会で分割付託すべきでないとの法令解釈があることを踏まえて議論がなされた。
議論の結果、本市議会においては、議長を除く議員全員参加型の予算決算常任委員会方式を採用することとし、平成25年8月に設置した。
また、委員会内に分科会を設置して詳細な審査を行うこととし、さらに、充実した審査を行うためには、政策・施策の評価や論点の抽出など、審査に向けた準備が一定程度必要となることから、それを担う組織として、予算審査決算審査準備会を別途設置することとしたものである。
(2)予算決算委員会の概要
① 設置目的
予算決算委員会は、予算及び決算の審査について議案一体の原則に照らし、適正な審査を行うとともに、議員全員が予算・決算の審査に携わりながら、予算(政策決定)と決算(政策評価)の審査を連動させた政策サイクルにより議会機能の一層の充実を図り、もって本市の政策課題の解決に寄与することを目的に設置する。
② 委員の構成等
予算決算委員会は、議長を除く全議員で構成する(表3参照)。
③ 議案の付託
予算決算委員会には、予算及び決算の議案を付託する。
(3)予算審査・決算審査に係る具体的な流れ
本市議会における予算審査及び決算審査の具体的な流れについては、以下のとおりである。
① 予算審査決算審査準備会(各分科会)
予算審査決算審査準備会では、予算決算委員会での審査の前提として、定例会の約1か月前から論点の抽出並びに政策、施策の評価等の準備を行う。
論点の抽出等に当たっては、決算審査における政策評価を踏まえるとともに、市民との意見交換会で聴取した意見、執行機関における行政評価、政策討論会各分科会の調査研究成果、会派の調査研究成果等を活用する。
予算決算委員会における政策サイクルの趣旨を踏まえ、総合計画に掲げる政策、施策を評価対象として、委員間討議を行い、論点を抽出する(論点抽出の様式については図2参照)。
② 議案説明(本会議)
本会議における議案説明は、総括質疑に必要な概要の説明にとどめ、予算決算委員会における説明は省略し、予算決算委員会各分科会において各事業の詳細説明を行う。
③ 総括質疑(本会議)
全ての議案を対象とし、総括質疑を行う。なお、質疑の対象となっている案件の大部分は各委員会に付託され、専門的な立場から審査するため、質疑に当たっては大綱にとどめ、また、自己の所属する委員会(予算決算委員会においては分科会)の所管事項については、質疑は行わないこととしている。
④ 予算・決算議案の付託
予算・決算議案は予算決算委員会に付託され、さらに予算決算委員会において、各分科会へ分担される。
⑤ 予算決算委員会各分科会における審査
予算決算委員会各分科会においては、執行機関から議案の詳細な説明を求め、予算審査決算審査準備会で事前に抽出した論点をもとに、詳細な審査を行う。
分科会における討論の前に、分科会としての論点を整理し、争点を明らかにするために委員間討議を実施し、分科会としての表決を行う。
⑥ 予算決算委員会(全体会)での表決
予算決算委員会において、各分科会から審査報告を行い、審査報告に対する質疑、委員間討議、討論を実施し、委員会としての表決を行う。
⑦ 本会議での表決
本会議において、委員会から審査報告を行い、審査報告に対する質疑、議員間討議、討論を実施し、表決を行う。