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2020.02.10 議会運営

第8回 契約議案

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契約議案の提出と議決

 では、長が契約議案を議会に提出するに当たり、契約の内容はどの程度示せばよいのでしょうか。
 昭和25年の行政実例によれば、議案には契約の目的、方法、金額、相手方等を明記すればよく、契約書案を添付する必要はないとされています。各自治体で定める財務規則には契約書の記載事項が列挙されていますが、そもそも請負契約は相手方との間で仕事の完成と報酬の支払を約するもの(民法632条)で、これを一般競争入札を原則とする四つの方法のいずれかで締結しますから、自治体が締結する請負契約の一般論としては妥当なところといえます。もっとも、議会は当該契約の妥当性について様々な観点から検討を加えますから、「等」の部分として、工事の場所や概要、工期、入札の結果など重要な事項は議案自体あるいは添付資料に記述されるのが一般で、具体的には自治体によって取扱いが異なります。
 また、契約議案の審議には契約の相手方や契約内容を特定させる必要があるため、執行機関としてはあらかじめ相手方と仮契約を締結しておき、議会の議決を得られたときに本契約を締結する形をとります。この仮契約は本会議の予約と解されています。

契約の変更と議決の要否

 工事請負契約を締結後、何らかの事情によりこれを変更する必要が生じることがあります。そこで、すでに議会の議決を得た契約の金額を変更する場合、変更契約について改めて議決を得る必要があるかどうかが問題となります。金額の増と減、それぞれの例で考えてみましょう。
 例えば、議会の議決に付すべき契約について、条例で「予定価格2億円以上の工事又は製造の請負」と定めている自治体で、2億1,000万円の工事請負契約につき議会の議決を得ていたとします。この契約の金額を、①2億円に引き下げる、②1億9,000万円に引き下げる、③2億2,000万円に引き上げる、の三つの場合で、それぞれ議会の議決は必要でしょうか。
 結論からいうと、契約を変更する場合における議会の議決の要否は、変更後の契約内容で判断します。そうすると、①と③は変更後の契約金額も条例で定める「2億円以上」に当たりますから、変更契約について改めて議会の議決を得ることが必要となります。これに対し、② は条例の基準を下回っていますから、改めて議会の議決を得る必要はありません。

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