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2020.01.27 議会改革

第4回 議会の権限をしっかりと把握する

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4 その他の権能

(1)請願受理権
 請願は、憲法によって保障されている国民の基本権であり、参政権としての性格をもつものである。 
 議会は、請願受理権をもち、住民の代表機関として、請願を受理し、これについて採択・不採択の形で議会の意思を決定し、採択した請願が関係執行機関で措置することが適当と認められるものについては、これらに送付してその処理の経過と結果の報告を請求することができる(地方自治法124条、125条)。 
 請願・陳情については、住民からの政策提案として位置付け、これを議会として積極的に検討し、政策の提言・立案や、採択による執行機関への措置の請求につなげていくことなども求められるようになっており、また、請願審査の充実の取組みとして、請願者に意見の表明の機会を設けることなども行われている。このほか、請願をしやすくするため、電子メールなどインターネットを使った電子請願の導入なども議論となっている(3)

(2)意見表明権
 意見表明権は、住民の代表機関でもある議会が、一定の事項について、機関としての意思や見解を表明する権限であり、その効果については、法的な拘束力をもつものではない。 
 具体的には、意見書提出権と諮問答申権がある。 
 このうち、意見書提出権は、議会が、その自治体の公益に関する事件について、意見書を国会又は関係行政庁に提出することができるものである(地方自治法99条)。意見書の内容については、自治体の公益に関する事件である限り、その自治体の事務であるか、国の事務あるいは他の自治体の事務であるかを問わない。また、意見書の提出先は、国会又は意見書の内容について権限を有する国や自治体の行政機関であり、裁判所に意見書を提出することはできない。意見書の提出の議決は、自治体の団体意思ではなく、自治体の機関としての議会の意思の決定となることから、その発案権は議員に専属する。 
 意見書の提出があった場合には、国会又は関係行政庁はそれを受理する義務はあるが、それに何ら拘束されることはなく、意見書に対して回答する義務もない。このようなことなどもあって、自治体議会から同種の意見書が多数提出されたことが注目されることはあるものの、意見書が国会で審議の対象となったり、立法に結びついたりするようなことはほとんどないのが現状である。自治体議会の側でも、そのことを前提として容易に意見書を採択するような状況が見られる。 
 一方、諮問答申権は、執行機関が一定の行為を行うに当たって議会に諮問することが義務付けられているもので、例えば、給与等の給付や分担金等の徴収の処分、行政財産の使用や公の施設の利用の権利に関する処分、督促・滞納処分、職員に対する賠償命令などについて審査請求があったときは、長が議会に諮問して裁決しなければならず、議会は諮問があった日から20日以内に意見を述べなければならないものとされている。

(3)選挙権
 選挙権は、議員の集合的な意思によって特定の地位に就くべき者を選び、決定する権限であり、議会は、法律又はこれに基づく政令によりその権限に属する選挙を行わなければならないものとされている。 
 具体的には、議長・副議長の選挙、選挙管理委員・補充員の選挙等が規定されているが、議長・副議長等の選挙は、むしろ自律権(内部組織権)の一つと位置付けられるものである(4)

(4)自律権
 自律権は、議会が、その内部組織や運営に関する一定の事項について、他の機関などから関与を受けることなく、自律的に決定し、処理する権限をいい、そのようなものとして、①決定権、②内部組織権・規則制定権・規律権、③自主解散権が規定されている。 
 このうち、①の決定権としては、例えば議員の資格決定権があり、議員の資格に疑いが生じた場合には、裁判の確定などそれが明確な場合を除き、議会が出席議員の3分の2以上の多数により決定するものとされている。
 また、②は狭義の自律権とも呼ばれているもので、内部組織権は議会の内部組織についてその設置や構成員・役員の選任などを行う権限、規則制定権は会議規則、傍聴規則等を制定する権限であり、規律権としては議場の秩序保持・傍聴人の取締り等の権限、議員の懲罰権などがこれに当たる。 
 さらに、③の自主解散権は、議会が自主的に解散する権限であり、「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」により認められているものである。

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