(7)議会審議
ア 議会への提出
予算案が確定すると、予算案は議会に提出され、審議される。予算の決定には議会の議決が必要(法96条1項2号)。なお、予算案の提出権は首長のみにあり、議員にはない(法112条1項)。
首長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経ることが必要である。都道府県及び指定都市は30日前、その他の市及び町村では20日前までに議会に提出しなければならない(法211条1項)。
また、予算を議会に提出するときは、予算に関する説明書を併せて提出する。予算とは、歳入歳出予算、継続費、債務負担行為、繰越明許費、地方債、一時借入金、歳出予算の各項の経費の金額の流用を指す。予算に関する説明書は、歳入歳出予算事項別明細書、給与費明細書、継続費に関する調書、債務負担行為に関する調書、地方債に関する調書、その他をいう。
イ 予算特別委員会
予算が議会に提出されると、議長は本会議に上程する。当初予算を審議する際には、予算審査のための特別委員会が設置され、そこで集中的に審議されることが多い(なお、補正予算については、当初予算と同様に特別委員会が設置されることもあるが、常任委員会で審議されることもある)。
特別委員会とは、必要に応じてそのつど設置する委員会をいう。委員会条例に特別委員 会の設置規定を置き、その規定に基づき議会の議決で個々の特別委員会を設置する。すべての行政の事務はいずれかの常任委員会に属するので、特別委員会を設置する場合は、その事務については常任委員会の所管から移譲される。
なお、実際の予算特別委員会では、首長や財政課長の説明の後、質疑が行われるが、その方法も自治体によって異なる。例えば、総括的な質疑応答の後、総務費、土木費などの費目別で行われたりする。また、議会の会派の人数によって質問できる人数を割り振ったり、時間制限を設けていたりする場合もある。
質問方法も、一括質問一括回答方式、一問一答方式などがある。前者は、まず質問を行う議員が、指定された時間の中で、複数の項目についてまとめて質問を行い、次に、執行機関が複数の質問項目についてまとめて答弁を行うもの。
後者は、一括質問一括回答方式とは異なり、議員の一つの問いに対して執行機関が答え、 議員がそれに対しまた質問を行い、執行機関がさらに答えるという方式。内容が深まって いくことや、緊張感が増すといわれている。この予算特別委員会での採決が終わると、その後、本会議で採決が行われる。
ウ 再議
再議とは、議会の議決や選挙等に異議がある場合、再度の審議と議決を求める制度であ る。長の拒否権ともいわれる。一般的拒否権と特別的拒否権の二つがある。
一般的拒否権とは、異議があれば発動できるもの。首長は10日以内に理由を示して再議 に付すことができ、議会は審議を行う。過半数の再議決で確定するが、条例・予算については、出席議員の3分の2以上の同意が必要である。
特別的拒否権とは、特別の要件のもとで発動しなければいけない、長の義務。その内容は、①違法な議決又は選挙、②法令により負担する経費等の削除・減額の議決、③非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費、感染症予防のために必要な経費の削除・減額の議決、となっている。