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特集 はじめての議案審査~予算編

2020.01.10 予算・決算

自治体の予算とはそもそも何か(上)(特集2)

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(4)予算査定
 
各部署から予算見積書が提出され、予算要求が終わると、各部署に対する予算要求につ いてのヒアリングが実施される。その方法は、自治体によって異なるが、例えば、①首長が 各部長に対して行う、②財政課長が各課長に対して行う、③財政課職員が各課の職員に対 して行う、というようにいくつかの段階がある。  
 ヒアリングと同様に、予算査定にもいくつかの段階がある。①財政課の各職員の査定内 容を財政課長が査定する、②財政課長の査定内容を財政担当部長が査定する、③財政担当 部長の査定内容を副市長が査定する、④副市長の査定内容を首長が査定する。このような 段階を経て、予算案が確定する。なお、査定する範囲についてもすべて同じということは ない。首長は政策的経費と、既定経費の大きな変更部分のみ査定するということもある。

(5)予算内示・復活要求  
 首長の査定が終了すると、財政課は各事業課に予算を内示する。内示は、予算案の結果を知らせるとともに、事業課は検算等を行い、間違いがないかを確認するもの。 この後、報道機関に発表する資料や議会へ提出する各種資料に間違いがあると、資料の差替えなど膨大な事務量が生じてしまうため、細心の注意が必要となる。  
 なお、予算内示の後、事業課が復活要求をする(できる)場合がある。これは、予算の内示があったものの、削減された予算の復活を求めるもの。  
​ この方法は自治体によって異なるが、例えば以下のような方法がある。 ある自治体では首長が実際に査定するのは、既定経費の大きな変更部分と政策的経費のすべてで、査定は、既定経費を先に行い、その後に政策的経費を行う。  
​ この場合、既定経費の首長査定が終了した段階で、既定経費のすべての内示を行う。そうすると事業課は、既定経費のうち首長が査定しなかった部分について復活要求をしてくることがある。首長が査定を行う部分については、一事業ずつ査定を行うので、それに対し復活要求をすることは、原則ない。しかし、それ以外については復活要求をすることができる。  
 復活要求では、事業課の課長が財政課長に説明し、予算の復活を求める。当然のことながら、復活要求がすべて認められるということはない。  
 以上のような経過を踏まえて、予算案が確定することになる。

(6)プレス発表  
​ プレス発表は、予算案を報道機関に対し発表することである。その方法も自治体によっ て異なるが、当初予算案の場合は、広く報道機関を集め、首長自らが予算案の内容や特徴を説明することが多い。  
​ プレス発表の具体的な内容としては、①予算編成の基本的な考え方、②予算規模、③特徴的な事業(ハード、ソフト、分野別など)などについて説明を行う。自治体にとっては、自治体をアピールする絶好の機会なので、なるべく報道機関に取り上げてもらえるよう、各自治体ともいろいろな工夫を加えている。説明の後、報道機関からの質問にも答える。
 翌日の新聞の地域欄に、予算の概要や特徴的な事業について掲載されることもある。また、地元のケーブルテレビなども含め、テレビで取り上げられることもある。この段階ではまだ予算案なので、正式な予算ではないが、早速、住民から事業の問合せの電話が入ることもある。  
 プレス発表後であっても、特徴的な事業の場合には報道機関から取材があったり、問合せの電話が入ることも少なくない。  
​ なお、議会との関係でいうと、正式には議会で予算案を審議することとなる。しかし、プレス発表をしているにもかかわらず、議員がその予算案の内容を知らないということでは困るため、幹事長会や全員協議会などの場で説明したり、全議員にプレス発表の資料等を配布したりする。

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