2019.12.10 議会改革
第2回 議会改革の動き ─続くそのあり方の模索─
【コラム:自治基本条例と議会基本条例】
自治体においては、2001年にニセコ町がまちづくり基本条例を制定して注目を集めて以降、自治基本条例を制定するところが相次ぐようになり、NPO法人公共政策研究所のウェブサイトによれば、2019年8月1日現在、377の自治体で、自治基本条例が制定されている。
自治基本条例については、自治基本条例、まちづくり基本条例、協働のまちづくり条例など、各地で制定されている条例の題名は様々であり、また、その内容もいろいろである。ただ、これまでに制定された条例などを踏まえるならば、自治基本条例は、その名が表すように、自治体の組織・運営・活動について、理念、原則等の基本事項を定めるものであり、地域の条例のいわば中心・頂点に位置し、それにより地域における条例、規則等の自主法を体系化・総合化することになるものということができる。そして、そのようなことから、自治基本条例については、「自治体の憲法」ともいわれ、アメリカの一部の州の市町村で採用されているホームルール・チャーター(4)が引き合いに出されることもある(5)。
そうであるならば、議会基本条例は、自治基本条例の下に位置するものと捉えられることにもなりそうだが、自治基本条例の制定が先行し、議会基本条例は、それを意識しつつ、場合によってはそれに対抗するものとして制定されてきたことなどもあって、両者の関係が十分に整理されているとは言い難いところもあるようだ。自治体によっては、自治基本条例と議会基本条例の両方に最高規範性が規定されていることもあり、その場合、法的には意味がないとはいえ、両者の関係が問題ともなりうる。また、自治基本条例の中には、議会の定めがないものも見られるが、それが自治体の組織・運営・活動の基本について規定するものであるならば、議会の規定を欠くことはおよそ考えられないだろう。
結局、自治基本条例が長主導で制定されたもの、議会基本条例が議会主導で制定されたものといった構図となっているところもあるようであり、そうなってくると、条例の制定や法システムのあり方としては疑念が生じることにもなりかねない。
それぞれが必要というのであれば、自治基本条例と議会基本条例の役割分担といったことも念頭に置きながら、両者の関係を整理し、自治にとってともに意義あるものとしていくことが必要だろう。