2019.12.10 議会運営
第6回 附帯決議を使いこなす
附帯決議の特徴と内容
附帯決議は、議会の機関意思を示す点では一般の決議と同じであり、それぞれの議会が会議規則で定める人数の賛成者があれば案を提出できます。ただし、附帯決議は他の議案に付随するものであるため、固有の議案番号を持たず、かつ、可決した議案についてのみ付することができます。否決された議案には何らの効力も生じないからです。つまり、附帯決議は、ある議案について賛成ではあるけれども「議会としてひとこと言っておきたい」場合に提出されるものなのです。
では、実際に附帯決議で示される内容の例をみてみましょう。まずは、条例案に関する附帯決議です。
図表1 条例案に関する附帯決議
上の例は、市営の駐輪場を新設する旨の条例の一部改正案について、駐輪場の新設については賛成だが、市の説明では駐輪場の防犯・安全対策が不十分であるとして、開設後の運営における留意点を指摘しています。 次は、予算案に関する附帯決議の例です。
図表2 予算案に関する附帯決議
この附帯決議では、複合文化施設の大規模改修について、財政上の見地から多額となることが見込まれる事業費の削減にできる限り努めることに加え、地域の活性化に資する施設となるよう、利用者や市民・議会との情報共有や意見の反映に努めることを求めています。
これらの例で議会が示しているのは、条例あるいは予算の執行段階における留意事項であり、執行機関を法的に拘束するものではありません。しかし、長がこれを「無視」すれば、今後、一般質問などで議会から追及される可能性がありますし、場合によっては議会による検査権や監査請求権(法98条)、調査権(法100条1項)などの行使もありえます。このように、附帯決議は今後の議会による行政チェックの「くさび」として機能しうるわけですから、長としても一定の配慮が必要となるのです。