2019.10.25 議会改革
【セミナーレポート】つなぐ議会改革~市民と議員の条例づくり交流会議2019夏~
議会基本条例制定10周年を迎えた所沢市
午後の部では、事例報告として、現場の議員、議会事務局職員によるパネルディスカッションが行われました。
初めに、埼玉県所沢市議(前議長)の荻野泰男氏から、所沢市における「議会基本条例10年目の検証」として、議会基本条例が2019年3月に制定され、その後、特別委員会の設置や、特別員会審査時に、廣瀬克哉氏(法政大学教授)に調査を依頼し、専門的知見の活用を行うこと、改定に関する市民への報告会を実施するなど改定に関する取り組みを紹介しました。一方で、議会基本条例制定時に在任していた議員数は減り、定数33名のうち16名となっていますが、新任議員当選者へこれまでの所沢市議会の議会改革の取り組みについて議長自らが講義を行っていることをお話しされました。また、議員基本条例制定10周年記念事業のひとつに、制定時のことを残すことを目的とした「議会の10年」という記念誌を発行。全議員に執筆依頼をしたところ、33名のうち28名の議員が寄稿され、そのほか、市長・前市長・条例制定当時の議長にも依頼を行い、記念シンポジウムで配布したことを説明されました。
大津市のミッションロードマップ
続いて、大津市議会局次長の清水克士氏が、「議会改革のミッションションロードマップ」と題して報告を行いました。清水氏は、「議会改革の方向性と優先順位」が重要として、「コンプライアンス上の疑義があるもの」「情報公開度が低いもの」「議会機能強化に資するもの」の3つを挙げました。コンプライアンス関連では、政務活動費が適正に運用されるような仕組みづくりや会議規則の条例化を、情報公開関連では、電子採決システムで議員の個別賛否を表示できるよう「議会の見える化」を、議会機能強化では、政策立案機能の強化を挙げました。特に、政策立案機能の強化は、議会から政策提案のために、テーマを出した提案会派等が座長を努め、各会派から選出した議員で構成された政策検討会議の制度設計を行い、龍谷大学、立命館大学、同志社大学とパートナーシップ協定を締結し、専門的な知見を活用していることを紹介しました。また、大津市議会では、前期から「ミッションロードマップ」を策定し、その目的として、議会基本条例の「具現化」、議会活動に対する市民への「説明責任」、市議会の「見える化」を挙げました。議員活動の評価サイクルとして、ミッションロードマップ計画事項の進捗を毎年度自己評価し、次年度計画事項の検証を行います。任期4年間の全議会活動を自己評価後には、外部評価も最終年度に行われ、それを受けて、議長が検討事項を次期議会に申し送りをすることを述べました。