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2019.09.25 議会運営

第67回  無通告による質問の取扱い/会派離脱に係る役職の離脱

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明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦

無通告による質問の取扱い

QA市議会は、質問において標準市議会会議規則(以下「市会議規則」という)62条2項に基づき、事前に議長へ質問の通告をする事前通告制を採用している。ここで、質問通告した議員がすべて終了した後に、議長が「ほかに質問はありませんか」と述べることは適当であるのか。また、市会議規則52条1項で、発言した者がすべて終わった後には議長の許可を得て質問することができる旨規定があることから、無通告による質問を制約なく議員が行うことは可能か。

A質問とは、議員が当該地方公共団体の行政事務全般について、特定の議案とは関係なく、長等の執行機関に対し原則として口頭により見解をただすことをいう。
 質問を行うに当たり、市会議規則62条2項により文書通告を必要としたのは、三つの理由がある。すなわち、①質問の内容が市の事務の範囲外のものである場合や、質問の内容が個人のプライバシーや議会の品位を傷つけるようなものである場合等に議長が当該質問を許可しない運用をとるため、②質問の人数や内容を把握し、重複質問や質問順序・質問人数の調整をするため、③執行機関があらかじめ議長から質問の通告書を受け取ることにより、十分な答弁準備が行えるようにするためである。

【市会議規則62条】
① 議員は、市の一般事務について、議長の許可を得て質問することができる。
② 質問者は、議長の定めた期間内に、議長にその要旨を文書で通告しなければならない。

 この一般質問手続の原則である通告制に対し例外として規定されているのが、市会議規則52条の無通告発言の規定である。
 無通告発言とは、発言の通告をした者すべてが発言を終了した後に、発言の通告をすることなく議長の許可を得て行う発言をいう。

【市会議規則52条】
①  発言の通告をしない者は、通告した者がすべて発言を終った後でなければ発言を求めることができない。
②  発言の通告をしない者が発言しようとするときは、起立して「議長」と呼び、自己の氏名を告げ、議長の許可を得なければならない。
③  2人以上起立して発言を求めたときは、議長は、先起立者と認める者から指名する。

 無通告発言の規定を会議規則に規定することは、特に制約を設けない限り、文理解釈上は、発言の通告をした者すべてが終了すれば無通告発言は議長の許可を得れば行うことが可能であることから、発言通告制度との関係で問題となる。無通告発言を制約なく認めることは、通告制度の存在を失わせることとなるからである。
 そのため、一般質問について通告制を採用している市会議規則では、無通告の発言の規定を市会議規則52条で規定しているが、同様に一般質問において通告制を採用している標準都道府県議会会議規則及び標準町村議会会議規則は、無通告発言の規定を定めていない。
 以上から考えると、市会議規則52条の規定を置くことは、一般的に無通告発言を法規定上容認することにつながり、通告制を遵守せず、無通告による発言が多発し、通告制の意義を失わせることとなるおそれがあるため、一般質問において通告制を原則として採用する場合は、市会議規則52条の規定を削除するのが適当である。また、会議規則の規定を削除することが困難な場合は、議会運営委員会の申し合わせとして、市会議規則52条における無通告発言は災害等の緊急性のある事件が起こった場合や、議会運営においてやむをえないと判断した場合に限るなど、限定して運用することが適当である。
 ここで、一般質問において通告制を採用している議会で、通告者が質問をすべて終了した後に、「ほかに質問はございませんか」と述べることは、無通告発言を誘発するものであり問題があるため、そのような発言を議長は行わないことが適当である。通告者による一般質問が終了したら直ちに「これにて一般質問を終了いたします」として、次の議題に進む議事運営を行うべきである。
 また、無通告発言における制約の有無については前述のとおり、理論的には制約なく無通告発言は議長の許可により可能であるが、通告制を原則とし、規定を残すのであれば事実上の取決めを議会運営委員会の申し合わせ等で決定することが適当である。

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