2019.09.10 議会運営
第3回 議会の意思決定
修正案がある場合の表決
さて、提出された議案に対し、議員は、一定の要件に基づいて、その一部を修正する案(修正案)を提出することができます。これを修正動議といい、提出要件は議案の提出と同様に定められています。
まず、条例案など団体意思の決定に関する議案を修正する場合、議員定数の12分の1以上の者(提出者を含む) の発議によることとされ(法115条の3)、予算案の修正も可能です(法97条2項)。また、機関意思の決定に関する議案を修正する場合は、会議規則所定の人数以上の者の賛成(提出者を含まない)が必要です(県会規17条、市会規17条、町村会規17条)。以上は本会議での提出要件であり、委員会では1人でも修正案を提出することができます(県会規68条、市会規101条、町村会規69条)。なお、いずれの場合も修正案は文書で提出します。
では、修正案が提出された場合、表決はどのように行うのでしょうか。「ええと、原案に賛成と反対に、修正案に対する判断があって、……三択? いや四択?」。いえいえ、過半数の原則(法116条1項)がありますから、表決はあくまでも賛成か反対かの二者択一です。
原案と修正案の関係は図表のようになります。修正案は議案の一部を手直ししたものですから、修正案B は原案Aの上にツギを当てたような感じです。そして、表決では、図表の各領域について一度ずつ判断し(一事不再議の原則といいます)、最終的に全ての領域をカバーするように順序を考えるのがポイントです。
そこで、まず修正案Bについて採決します。修正案が可決された場合、原案のうち修正部分を除いた部分(図表の網かけ部分)について採決します。修正案に賛成というだけでは、修正部分以外の部分は判断されていませんから、図表の網かけ部分を可決することで、全ての領域をカバーすることになります。
一方、修正案が否決された場合は、Bの下に隠れていた部分(修正対象とされた原案の部分)が現れますので、この部分も含めた原案A全体について採決します。
議会が修正できない事件
このように、議会は提出された条例案や予算案を修正することができますが、発案権が長に専属すること等の理由により、修正できない事件もあります。
例えば、契約の締結(法96条1項5号)や財産の取得・処分(同項8号)です。これらは長の権限に属する予算の執行行為であり、その発案権は長に専属するものですから、議会がその内容を修正することはできません。その他、議会が修正権を持たない事件として、副知事・副市町村長の選任(法162条)や決算の認定(法96条1項3号)などが挙げられます。