2019.09.10 議会運営
第3回 議会の意思決定
表決は「賛成か」を諮る
議会の意思を決定する表決は、ある問題について可否を問う二者択一で行われ、その結果である議決は、「条例案が可決された」、「当初予算案を否決する」というように、基本的に「可決」、「否決」といわれます。なお、請願の場合は「採択」、「不採択」です(法125条参照)。
ある問題について表決をとる(採決する)とき、議長は、当該問題を採決する旨を宣告して、「○○のとおり決することに賛成の方は……」と諮ります。賛成つまり可とするかを聞くわけで、これを「可を諮る原則」といい、標準会議規則に定められています(県会規80条1項、市会規70条1項、町村会規81条1項。委員会についても同様の規定があります)。
「反対の賛成なのだ」?
「なるほど、賛成かどうかを諮るのね」。では、実際の本会議の場面で考えてみましょう。
議案を委員会に付託した場合、本会議では委員長報告を経て採決となります。このとき、議長が「賛成かどうか」を諮る対象としては、議案(原案)と委員長報告(委員会の表決結果)の2通りが考えられますが、「委員長の報告のとおり決することに賛成の方は……」と諮るのが一般的だと思います。そうすると、委員長報告が「原案を可決すべき」であった場合、このときの「賛成」は、「原案に賛成」と同じです。
では、委員長報告が「原案を否決すべき」であったときはどうでしょうか。原案可決の場合と同じように「委員長の報告のとおり決することに賛成の方は……」と議長が諮ると、この場合の「賛成」は「原案に反対」という意味となります。これでは傍聴している人だけでなく、当の議員にとっても分かりにくいですね。
そこで、委員長報告が原案否決の場合、議長は原案について採決します。「委員長の報告は否決でありますので、原案について採決します。本案を原案のとおり決することに賛成の方は……」という具合です。請願や陳情のときも同様で、委員長報告が「不採択とすべき」であった場合、議長は「本請願を採択することに賛成の方は……」と諮ります。