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2019.08.27 政策研究

成年後見制度の現状及びその利用促進─中核機関の整備等─

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6 地方自治体の取組の実情

 2019年3月18日公表の「成年後見制度利用促進施策に係る取組状況調査結果」(厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室)によると、2018年10月1日時点の取組は次のような状況となっています。

・市町村計画  策定済みと回答した市区町村は3.4%
・市区町村における中核機関の設置状況  設置済みと回答した市区町村は4.5%
  2022年度以降に設置予定と回答した市区町村が80.9%
・市区町村における権利擁護センター等の設置状況
   管内又は管外(近隣市町村)のいずれにも「権利擁護センター等」の機関がないと回答した市区町村は75.2%
・市区町村における協議会等の合議体の設置状況  設置済みと回答した市区町村は4.5%

7 今後対応していくべきこと

(1)市町村計画の策定
 まだまだ市町村計画の策定が進んでいない自治体が多数であるため、まずは市町村計画の策定を行う必要があります。
(2)中核機関の設置について
 現在、国は中核機関の整備の促進に向けた支援を行っていますが(5)、上述のとおりまだまだ進んでいないのが実情です。
 実際の設置が進まない理由としては、マンパワー不足など各自治体において事情が異なると思いますが、近時は既存の組織を活用した形での立上げの例も増えてきており、工夫次第で負担を減らすことも可能となっています。
 また、この中核機関は条例化が必須なものではないところですが、どのような形で機関を設置するかによって、条例を制定したり、議会の議決を採ったりしなければならなくなる可能性があります(地方自治法252条の7参照)。
 これまで成年後見の仕組みといえば、福祉の担当部局だけの話になりがちだったかもしれませんが、自治体法務を担う部署も関わっていくことが必要です。

 


(1) なお、制度の詳細については、法務省ウェブサイトを参照のこと。
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html?
(2)2017年3月24日に閣議決定された「成年後見制度利用促進基本計画について」においても、成年後見制度の現状に関する問題点が指摘されている。
 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/keikaku1.pdf
(3) 利用者数については、第3回成年後見制度利用促進専門家会議(2019年5月27日)の配布資料を参照。
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04833.html
 なお、成年後見制度利用促進の施策については、2018年4月1日より、内閣府から厚生労働省へ担当が移管している。
(4) 厚生労働省資料「成年後見制度の現状」より。
 https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000511780.pdf
(5) 2019年5月17日、各種法律の欠格条項を原則削除とする一括法案が衆院内閣委員会で可決された。
(6) 中核機関の整備の促進については、「中核機関等の整備の促進について」(2019年5月27日、厚生労働省社会・援護局成年後見制度利用促進室)を参照のこと。
 https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000512140.pdf

※本稿は「政策法務Facilitator」63号(2019年7月)から転載したものです。

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