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2019.08.13 議会運営

第2回 言論の府

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討論と議員間討議

 質疑や質問が主に執行機関を相手にするのに対し、議員同士がその考えを示す場面が「討論」です。
 討論は、議案に関するすべての質疑が終わった後、表決の前に、議員が当該議案に対する賛否を示し、その理由などの意見を表明するものです(県会規43条、市会規42条、町村会規44条)。討論は、議案について反対の者から順に、賛否がなるべく交互になるように指名して行われ(これを「討論交互の原則」といいます)、各議員は、それぞれの意見を参考にして表決に臨みます。
 討論は賛否交互に行われますから、全体として議論の「雰囲気」はありますが、個々の発言は各人が自身の問題意識に基づいて順次行い、それぞれ完結してしまうため、議論のかみ合いや深まりという点で、イマイチ「物足りなさ」を感じてしまうのは否めないところです。
 そこで、議員同士が自由に発言して議論する「議員間討議」を行っている議会があります。議案に対して議員が問題点を指摘したり、その点について別の議員が反論したりするなど、きびきびとした発言の応酬がなされ、聴いている人にとっても論点やこれに対する議員の考え方が分かりやすくなるといったことが期待されます。

反問権(反論権)を考える

 さて、「議員vs 議員」の場面では議員間討議という工夫がなされていることを述べましたが、「議員vs執行機関」の場面できびきびとした発言の応酬を実現しようとする方法を見てみましょう。
 質疑や質問においては、通常、議員の問いに対して執行機関が答えるという形をとります。議案は主に執行機関から提出されますし、現在あるいは将来の施策も実際に進める側が状況をよく知っているはずですから、執行機関の「答弁」は文字どおり議員からの問いの答えになるわけです。
 これとは反対に、執行機関の方から議員に対して問うという試みが行われています。「反問権」あるいは「反論権」と呼ばれ、議員からの問いの内容や根拠、背景などを確認したり、あるいは逆に、議員が示した見解に対して反論したりすることを執行機関の側に認めるものです。執行機関からの「クロスカウンター」がありうると思えば、議員の側も、質疑や質問自体を相当の労力をかけて緻密に組み立てるきっかけになるでしょうから、聴いている人にとっても実りのある議論が期待できそうです。
 ただ、議員は限られた人数ですし、議員をサポートする議会事務局の職員もたいていの自治体では少人数にとどまっているのが現状です。一方、執行機関の側はというと、議会側に比べてマンパワーは圧倒的です。現に事務を担っているという点も含めて、議員と執行機関とでは情報量の差が歴然であることも事実です。執行機関に反問権・反論権を広範に認めた場合、両者が同じ土俵で議論をすればどうなるか、容易に想像がつくでしょう。
 そこで、反問できるのは長のみとする、あるいは反問できる内容は質疑・質問の要点を確認するにとどめる、といったように、反問権の行使を一定の範囲内に制限する方法もとられています。もっとも、議員は住民を代表する立場ですから、行政のプロではなく住民が抱く感覚的な視点をそのまま質問としてぶつけるような「素朴さ」を大事にして執行機関にただしていくのも一つの方法なのかもしれません。

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