2019.07.25 政策研究
第13回 新人議員との懇談会を主催する小平市の住民グループ~議会改革の真の主体は議員を選び、チェックし、育む住民である~
住民が新人議員らとの懇談会を開く
小平市での住民と新人市議による懇談会は、参院選真っただ中の7月13日に開かれた。会場は西武鉄道多摩湖線青梅街道駅から徒歩数分の小平市中央公民館で、3月29日にも取材で訪れた場所だった。実は森野さんら「政治・知りたい、確かめ隊」は、市議選直前のその日、ここ中央公民館に立候補予定者を集めて「公開演説会」を開催していた。定数28の小平市議選に31人が立候補して選挙戦が展開されたが、告示前に開かれた公開演説会には23人もの立候補予定者が出席していた(「政治・知りたい、確かめ隊」による立候補予定者を集めての公開演説会は2007年と2015年に続いて3回目)。
23人もの立候補予定者が壇上にそろう
23人の立候補予定者は会場に詰めかけた住民に向かって懸命に自己PRした。くじの番号順に一人ずつ、中央の演台の前に進み出て、立候補する理由や動機、当選したら取り組みたいこと、またはこれまで市議として取り組んできたことなどを5分間にわたって語ったのである。一方、会場に足を運んだ160人ほどの住民は、立候補予定者一人ひとりの話に耳を傾け、その姿や態度に目を凝らし、あれこれとまるで品定めしている風だった。つまり、公開演説会は有権者一人ひとりに議員を選ぶための判断材料を提供する場となったのである。
小平市議選は4月21日に投開票され、公開演説会に参加した23人のうち22人が当選した。このうち8人が新人候補で、さらに公開演説会に参加しなかった新人候補2人も当選し、小平市議会に合わせて10人もの新人市議が誕生した。それから3か月ほどが経過し、住民が新人議員らに声をかけての懇談会となったのである。
会場となった中央公民館への道すがら、頭の中にあることがよぎった。市議選というお祭りがすでに終わり、新たに参院選という別のお祭りも始まっている。議員側も住民側も
参加率は芳しくなく、会場内は閑散としているのではと案じたのである。だが、それは杞憂(きゆう)にすぎなかった。
会場となった中央公民館2階ホールは明るい雰囲気に包まれていた。同じ会場で開かれた公開演説会でのピリピリと張り詰めたような緊張感はなく、笑顔と笑い声がそれにとって代わっていた。新人議員の参加も予想を大きく上回った。10人のうち懇談会の日程が決まる前からこの日に予定が入っていた1人を除き、全員が会場に姿を現したのだった。しかも、小平市議会のすべての会派など(6会派と無会派1人)からそろっての出席である。住民側もスタッフを合わせて60人以上に上った。住民主催の新人議員との懇談会が今回で3回目で、すでに小平市では恒例となっていることの表れであろうか。