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2019.07.10 議会運営

第66回  一般選挙後の初議会前の全員協議会の取扱い/一般選挙後の初議会における臨時議長の不適切な議事運営

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一般選挙後の初議会における臨時議長の不適切な議事運営

Q一般選挙後の初議会で議長選挙を行うために臨時議長のもとで選挙を執り行うこととしていた。しかし、臨時議長が仮議席の指定後、直ちに議長選挙に入らず、自分の所信や議長選挙における立候補制の導入等について発言し、議長選挙を執り行わなかった。そこで他の議員は選挙の即時実行を求める動議や発言を行い、臨時議長への説得を試みたが、一切受け付けなかったため、議場外へ臨時議長を除く他の出席議員全員が退席し、臨時議長の解任議決を議場外で行った。そして議長席を占拠している臨時議長に解任した旨の宣告をし、臨時議長席を議長席以外として議長選挙を出席議員中の二番目の年長議員のもとで執り行った。この選挙は有効か。

A一般選挙後における臨時会では、議長・副議長が決定していないため空席となっている。そのため、法107条に基づき出席議員中の最年長議員が臨時議長となり、議長の職務を行うこととなっていることから、議長選挙を主宰することとなる。

【法107条】
 第103条第1項及び前条第2項の規定による選挙を行う場合において、議長の職務を行う者がないときは、年長の議員が臨時に議長の職務を行う。

 そのため臨時議長は仮議席の指定と議長選挙を行う。
 ここで、本問のように臨時議長が議長選挙を自らの私見により執り行わなかった場合、どのような対応をすべきであるか考える必要がある。
 本問では、臨時議長が自らの私見に基づいて発言を行い、他の議員からの選挙を行うことを要求する旨の発言や動議があったにもかかわらずそれを無視し、議長席に居座り続けた。それに対し臨時議長を除く他の出席議員全員が議場外で臨時議長を除く出席議員の総意として臨時議長の解任決議を意思決定し、議長席以外の場所において別個の臨時議長を立て、そのもとで議長選挙を行うことは瑕疵(かし)ある選挙である可能性が高い。
 その理由としてまず挙げられるのは、議場外における臨時議長に対する解任決議である。議会としての意思決定は、本会議における定足数を満たした会議での出席議員の過半数議決が原則となる。本問においては、退席議員が議員定数条例で規定された半数未満となった時点で、市会議規則12条3項により休憩又は延会を臨時議長が宣告する必要性があった。しかし、臨時議長は議長席を占拠し議長選挙を行わせないため、休憩又は延会を宣告せず議長席に居座り続けることとなった。この場合、臨時議長が休憩又は延会宣告をしていないためその効力発生が問題となるが、明らかに定足数を満たしていないため本会議は一度中断したものと考えられる。その状況で議場外において、事実上、臨時議長を除く他の議員全員が集合して意思決定を行っても、定足数を満たした上での本会議における意思決定とみなすことはできないため、法的な意思決定とはならず、解任決議が有効なものであるとすることは難しい。
 そして、効果の生じない解任決議の結果を臨時議長に伝えたのみで定足数を満たした本会議において、新たな臨時議長のもとで議長選挙を行うことは、法107条における出席議員中の最年長議員が臨時議長に就任することとの解釈を考えると、有効とみなすことは難しいと考えられる。

【市会議規則12条】
 ③ 会議中定足数を欠くに至ったときは、議長は、休憩又は延会を宣告する。

 本問のような場合における対応策としては、臨時議長は本会議に出席しているときだけ臨時議長となるので、臨時議長である出席議員中の最年長議員がトイレ等で本会議場を退出したときに、定足数を満たす議員が本会議場へ直ちに入室し、本問における退出した臨時議長が占拠していた議長席に、退出した最年長議員の次の年長議員が出席、着座し、直ちに議長選挙を行う旨の宣告をして議長選挙を行うのが適当であると考える。それが難しい場合は、我慢比べとなるが、議場に議員定数の半数以上の議員が在席し続け、やはりトイレ等で臨時議長である最年長議員が退席するのを待って、当該議員が退席したと同時に退席した議員の次の最年長の議員が議長席に着座して直ちに議長選挙を行えばよいと考える。
 議長選挙の宣告を行えば、議員中の最年長議員が再び入場したとしても、選挙を中断してまで臨時議長の職を交代する必要もないため、選挙を有効に進めることが可能となる。
 実際にはかなり難しい手続といえるが、法的に瑕疵なく議長選挙を行うこととするならば、当該方法によるのが適当であると考える。

 

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