2019.07.10 議会運営
第66回 一般選挙後の初議会前の全員協議会の取扱い/一般選挙後の初議会における臨時議長の不適切な議事運営
明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦
一般選挙後の初議会前の全員協議会の取扱い
一般選挙後に初めて招集される臨時会での円滑な運営を期すために、全員協議会を開催することが先例となっているが、この全員協議会の招集、進行は誰が行うべきか。
全員協議会とは、会議の構成員を議会に属する議員全員とし、一般的に地方行政に関して重要な事項について協議・調整する場として用いられる会議をいう。その設置の仕方は2通りあり、①地方自治法(以下「法」という)100条12項に基づき協議等の場として常設設置、②事実上の会議として設置、のどちらかとなる。
【法100条】
⑫ 議会は、会議規則の定めるところにより、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けることができる。
①の協議等の場として全員協議会を常設設置した場合は、標準市議会会議規則(以下「市会議規則」という)166条1項別表のとおり、名称、目的、構成員、招集権者を会議規則に規定する必要がある。ただし、招集された全員協議会をどのように進めるか、つまり議事運営を行う者や運営に当たっての手続をどうするか、会議を公開する手続等をどうするか等、協議等の場の運営その他必要な事項は市会議規則166条4項のとおり、議長が定めることとなる。それゆえ、委員会の規定を準用することと議長が定めているなら、出席議員中の最年長の議員が議事運営を行うこととなる。
【市会議規則166条】
① 法第100条第12項の規定による議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場(以下「協議等の場」という。)を別表のとおり設ける。
② 前項で定めるもののほか、協議等の場を臨時に設けようとするときは、議会の議決でこれを決定する。
③ 前項の規定により、協議等の場を設けるに当たっては、名称、目的、構成員、招集権者及び期間を明らかにしなければならない。
④ 協議等の場の運営その他必要な事項は、議長が別に定める。
②の事実上の会議として設置した場合は、地方自治法、会議規則、委員会条例等の法令上の規定は一切ないため、各議会における先例・慣例により取り扱うこととなる。
協議等の場として設置した場合と、事実上の会議として設置した場合の違いは、公務として認識されるかどうかである。協議等の場の活動は公務として認識され、その活動中に事故があった場合には公務災害の適用があるが、事実上の会議として設置された場合は、公務としては認識されないため公務災害の適用がない。
一般的には、全員協議会は協議等の場として設置するのが適当であるといえる。