2019.07.10 議会運営
第1回 議会という組織
主語をつかまえよう
何だかややこしいですね。議会のシゴトが見えにくいのは、もしかしたらこうした入れ子式の組織、多層的な権限構成が理由の一つかもしれません。 議会は、条例や予算など、住民の暮らしに直結する案件の是非を最終的に決める機関です。そのため、議会の運営は、地方自治法や会議規則、委員会条例などの規定に従ってキッチリと進められます。
そこで、特に条文を読むときに意識してほしいのが「主語」です。例えば、会議規則の制定に関する法120条の主語は「議会は」であり、傍聴規則の制定に関する法130条3項の主語は「議長は」となっています。同じ議会の規則でも、制定権者が違うことが分かります。そうすれば、制定や改正に当たり、会議規則は議会の議決が必要で、傍聴規則は議長の決裁でよい、というように、手続の違いが理解できます。
法律や条例、規則などの条文は、基本的に一定のルールに従えば誰が読んでも同じ意味にとれるように書かれています。条文の書き方のルールと聞くと、「法制執務=ヤヤコシイ」と考えてしまうかもしれません。もちろん法制執務は大事なのですが、それより前に、条文は「超丁寧な」日本語だと思ってください。主語、述語はもちろん、時間、場所、対象など、必要なことは省略せずいちいち書き込まれています。条文を読むときのポイントは、こうした要素を丁寧に拾うことにあります。
先に述べたように、議会運営は、それぞれ役割と権限を持つ議会内の多様な主体によって進められています。この場面では誰が「主役」で、何ができるのか。よく見えない、とっつきにくい議会やその運営を理解するには、こうした場面ごとの主体をまずつかまえることが、一つの切り口になると思います。
(『自治体法務NAVI』「とっても身近な自治体法務シリーズ」2019.5.25号より転載)