2019.06.25 議員活動
後援団体が商店街の協賛を得て提示すると割引サービスが受けられる会員証を作成し会員に無償で交付できるか/実務と理論
齋藤晴紀 総務省大臣官房総務課
1 はじめに
公職選挙法(昭和25年法律100号。以下「法」という)における後援団体は、選挙の行われる期間外でも、普段から様々な活動を行っているものと考えられる。本問では、法が禁止する寄附の観点から、当該後援団体の日常の活動における留意事項について、近年の実例をもとに解説する。
なお、文中意見にわたる部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りしておく。
2 公職選挙法における寄附の定義
「寄附」については、法179条2項において、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束」で「党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のもの」と定義している。ここでいう金銭、物品は、財産上の利益の例示にすぎないのであって、必ずしも有体物に限られず、債務の免除、金銭、物品の貸与、労務の無償提供等も財産上の利益に該当するものとされている。
法は、金のかかる選挙の是正と選挙の公正の確保を目的として、選挙区内にある者に対する寄附について様々な規制を設けている。