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2019.05.27 議会運営

第65回 一般選挙後の初議会における議事日程

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明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦

一般選挙後の初議会における議事日程

Q一般選挙後の初議会における議事日程は、臨時議長があらかじめ作成して議員に配布することができるのか。

A議事日程とは、会議を能率的に行うために、開議の日時及び会議に付する事件並びにその順序等を掲載したものをいい、標準市議会会議規則(以下「市会議規則」という)20条に規定されている。

【市会議規則20条】
 議長は、開議の日時、会議に付する事件及びその順序等を記載した議事日程を定め、あらかじめ議員に配布する。ただし、やむを得ないときは、議長がこれを報告して配布にかえることができる。

 議事日程は、議事日程に記載された開議の日のみ効力を有し、議事日程の作成権を持つ者は議長のみである。この議長の権限は地方自治法(以下「法」という)104条に規定している議事整理権に基づくものである。なお、実務上は、議事日程は議会運営委員会において協議、決定し、その決定に基づき議長が作成することが多い。
 さて、一般選挙後の初議会では、法107条に基づき、出席議員中の最年長議員である者が臨時議長となり、仮議席の指定と議長選挙を行うこととなる。

【法107条】
 第103条第1項及び前条第2項の規定による選挙を行う場合において、議長の職務を行う者がないときは、年長の議員が臨時に議長の職務を行う。

 ここで問題となるのは、質問における臨時議長が市会議規則20条に基づく議事日程を配布することができるのかということである。
 そもそも臨時議長は出席議員中の最年長議員がなるため、開会するまで臨時議長が存在していないので、臨時議長があらかじめ議事日程を作成して議員に配布することはありえない。しかし一方で、実務上は初議会の開議直前であれば臨時議長はほぼ確定しているため、あらかじめ議事日程を議員に配布する取扱いをすることは可能である。
  なお、行政実例昭和26.9.10において、議事日程をあらかじめ臨時議長が配布することはできず、便宜的に議事日程案であれば配布することはできなくはないとしている。

◯臨時議長の職務(行政実例昭和26.9.10)
問1  当市議会において、会議規則に「議長は、議事日程を定め、予め議員にこれを通知しなければならない。」とあり、また、慣例として、前日又は前々日に、議事日程を発送している。一方、一般選挙後初の市議会第1日の会議の議事日程については、貴庁の御見解に「年長議員が議長選挙の件までの日程を作成する。」とあるから、初市議会第1日の会議の議事日程は、当選者中の年長議員を、当然第1日の会議に出席するものと考えて、第107条にいう「年長議員」(以下臨時議長という。)とみなし、当該年長議員がこれを作成して前日又は前々日に議員に通知してさしつかえないと解してよいか。
答1  第107条にいわゆる年長の議員とは、選挙の行われるとき議場に出席している議員中最年長者をいうのであって、現任議員中の最年長者の意ではない。従って、当日第107条の規定により議長の職務を行うことを予定されている者が、便宜会議の当日開議に先立ち作成通知することを予定している議事日程案を前日又は前々日各議員に配布するものであるならば格別であるが、設問のような取り扱いをすることはできないものと考える。

 ところで、一般選挙後の初議会に臨時議長が作成する議事日程は、どの部分まで議事日程に掲載できるか。
 先述したが、臨時議長は法107条のとおり、正副議長選挙及び正副議長にともに事故があるときに仮議長の選挙を行う二つの場合において、議長の職務を行う者がいないときに議長の職務を行うのであって、その職務は該当する選挙だけに限られる。
 つまり、一般選挙後の議事日程を臨時議長が作成するに当たっては、議長選挙を行うための仮議席の指定及び議長選挙だけを議事日程に掲げることができる。
 しかし、各議会での判断による運用として、標準市議会議事次第書の注にあるとおり、一般選挙後における初めての議会運営の実情から、議長選挙の前に臨時議長のもとにおいて議席の指定、会議録署名議員の指名及び会期の決定を行うことも運営上やむをえない場合もあると考えられ、議長の調整が難航する場合等、運営上やむをえない状況の場合には臨時議長が作成する議事日程に掲載する事項として、議席の指定、会議録署名議員の指名、会期の決定を掲載することができる。
 ところで、臨時議長による議長選挙で議長が選出された後、議長は改めて議事日程を作成できるのか。理論上、臨時議長のもとで一度議事日程が作成されているので、議長は議事日程を作成することはできず、すべて日程追加によりその後の議事を進めていくこととなる。しかし、実務上は一般選挙後の初議会においては臨時議長のもとで作成される議事日程には開会、仮議席の指定、議長選挙までしか掲載できないため、残りの案件を日程追加により執り行うことは議事手続上、煩雑である。そのため例外として議事日程に枝番をつけて新議長のもとで副議長選挙以下の審議すべき案件を掲載した議事日程を作成することもできる。
 なお、この場合には議事日程に○号の△と枝番号を付することになるが、これはあくまで日程は同一日に1号しか存在しないという原則に従うためである。
 以上により初議会における議事日程を取り扱うことが適当である。

 

 

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