2 条例ができ上がるまでのプロセス
条例ができ上がるまでのプロセスは、大まかにいうと、次のとおりです。
① 立法事実の検討
担当課は、課題の実態、関係する法律・政省令等の内容、現在行われている対策とその限界などを調査して、課題の内容とその要因を明らかにし、政策目的を設定します。
② 基本設計の作成
担当課は、①を踏まえて、設定した政策目的を達成するため、複数の案を検討し、相互に比較した上で、特定の案を選択します。その際には、課題を解決するためにはそもそも条例が必要かどうか、条例をつくるとしてどのような手法をとるかといった点を検討する必要があります。条例による対応を選択した場合には、条例案に定める義務等の具体的な内容、対象者、要件などを決めていき、条例骨子案を作成します。
③ 条文案の作成
担当課は、条例の「お作法」に従いながら、②の条例骨子案を条文の形にして条文素案を作成し、法規担当課の審査を受けます(条例審査)。なお、罰則が定められている条例は、事前に検察庁と協議する必要があります(検察協議)。
④ 議会への提案・議会における審議
③の条例審査を終えた条例案を、首長の決裁を経て、議会に提案します。提案された条例案は、議会で審議され、可決されれば条例として成立します。
⑤ 条例の公布・施行
条例は、自治体の公報に登載して公布され、その条例に定められた施行期日から効力を持ちます。
この一連のプロセスで中心的な役割を果たすのは、担当課です(2)。というのも、課題の実態を最もよく知っているのも、成立した条例を運用するのも担当課だからです。
以上が、条例ができ上がるまでの全体的なプロセスとなりますが、実際には、条例案の内容に応じて、①~③を行ったり来たりするケースもあれば、規定内容が少なく①~③をほぼ同時に行うケースもあります。このように、条例案を議会に提案するまでのスケジュール感は、条例案の内容によって大きく異なりますが、例えば、新規の自主条例で罰則を定めているものであれば、条例案の構想から条例骨子案を作成してパブリックコメントを行うまで約1年~1年半、パブリックコメントの開始から条例案を議会に提案するまで約半年を要するケースが多いです。なお、国の法令改正に伴って今ある条例を形式的に改正するだけの条例案であっても、条文素案の作成や条例審査の作業のため、約3か月は必要となります。