地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

新人議員が聞きました「教えて!先輩」

2019.04.25 仕事術

新人議員が聞きました「教えて先輩!」 1年生「議員」の壁~議会の心配、不安を乗り越えよう~(下)

LINEで送る

法曹人材と地方議会の新しい関係を(三雲)

松野 最後に、さらに長いスパンで議員としての目標や抱負を聞かせてください。
三雲 大きな目標としては、自治体の議員が法律をベースにした議論ができるようなスタイルを確立したいと思っています。これは地方分権が進む中で地方議会の権限が拡大していくときに、絶対に必要になると思っています。すでに、自治体では職員として弁護士を採用する例が出ています。私は、議会の中に法律家が議員として入るというやり方もあると思っています。執行部の側が法律家を使うのなら、議会の側にも法律家が入ることによって、対抗できるのではないかと思うところがあります。
 ただ自分でやってみたところ、非常にハードルは高いです。そもそも、議員になるためにはもといた法律事務所を辞めなくてはならず、そうすると収入は半分以下です。なおかつ支出は避けられない。その後収入が回復する見込みもないので、これをほかの人にどう勧めていくのだろうかと思うと、やりがいであるとか、意義というものを自分なりにきっちり見いだして、「法律家としてこういう生き方があります」と言えるようなところまで目指したい。
 それができたら、弁政連(日本弁護士政治連盟)や政党にも働きかけて、法律の専門家の議員を地方で増やしたいと思っています。
松野 法曹界からの地方議員への参入、おもしろいですね。私も激しく同意します。一方で、議会改革の流れからいうと、弁護士の職域拡大として、議会事務局の強化のために、まず事務局に任期付職員として法曹の専門職を増やそうという議論もあります。
 弁護士出身の国会議員は多いけれど、地方議員はそんなに多くはない、そこはぜひ拡大した方がいいと思うのですが、私自身は法律家と議員には、本質的に違うところがあると思います。法律家は、法令の中でコンプライアンスを遵守する立場、議員は世の中の実態に合わせて新たに法律や条例をつくったり、修正したりしていく立場ではないかと思うのです。何十年も前につくられて、今の時代には全然マッチしていないままの法律や条例がたくさんあります。民意を反映し、時代に沿った法律や条例に生まれ変わらせる。法律を守るだけではなく攻める、変えていくというところに意義を感じる弁護士の人たちが、議員になってみたらおもしろいと思いますね。
三雲 もともと弁護士は、法創造、法をつくる仕事もしています。例えば、企業同士の契約やルールをつくるとき、私たち弁護士はどういう規定が適切かと考え提案します。なおかつ、今あるルールを見直すことによってどういう効果が見込めるかも計算しています。そのやり方というのは、条例や法律をつくるという作業と似ているところがあります。
 ただ、違うのは、その効果が波及する範囲が広いということです。それは法律家個人の頭の中だけでは計算しきれない。そのためにできるだけ多くの人の話を聞く、それが政治家の仕事なのかなと思っています。
松野 すばらしい! それは、弁護士議員としてのやりがいにもつながることですね。
 荻野さんは、いかがですか。
荻野 私もビジネス界から行政に足りない優秀な方が入ってくるような動きをしていきたいなと思っています。例えばIT系、行政のサイバー人材には、特に問題があると思っています。この分野では、新しい血を入れていくというか、時代の流れに沿った対策が必要なのではないでしょうか。まだ議員になって数か月ですけれど、行政もあらゆる分野でウェブやアプリの活用を迫られていますが、出来不出来があってかなりお粗末な印象があります。これからマイナンバー制度も始まりますが、この間もセキュリティのことを聞いてみましたが、行政もあまり知らないのですね。これで大丈夫なのかなと。
松野 世田谷区でさえですか?
荻野 そうですね。

ママになって、本当に幸せなまちに(近藤)

松野 近藤さんの目標は。
近藤 私、実は議員にはそんなにこだわってはいないのです。でも、これができるなら、やっぱり議員という仕事はいいなと思った理由があります。
 今、日本の若者の投票率は20〜30%台ぐらいですが、フィンランドの投票率は70〜80%台です。フィンランドでは小学校に政治家が来て、子どもたちに国の将来をどうしていきたいか、夢を語るそうです。ほかにもいろいろな取組をやっているようですが、とにかく政治に対して夢を持っている。本来、政治というのは遠いものではなく、子どもたちの世界にもあります。例えば、自分たちの遊んでいる人気の玩具があった場合、それを誰がどう使うか、他の子と話し合ってルールを決める、つまり、皆が良いと思うルールを話し合って決めること、だと思うんです。日常でもよくあることなのに、日本ではアレルギーすらある。
 私は、茨城県潮来市生まれで、大学時代、そして就職してからも都心に住んでいました。でも、子どもを育てることになって、やっぱり環境を優先して郊外を選び、流山にやってきました。流山市は子育て世代に対するシティプロモーションがすごく上手で、空気がおいしいし、ゆったりした子育てにぴったりと、魅力を生かして人口を増やしています。
 けれど、細部を見ていくと、やっぱりベッドタウンで、ビジネスマンが都内に出勤してしまうと昼間の街は閑散としているし、子育て世代にとって幸せなまちかというと……まだできることはたくさんあると思っています。
 ママになって本当に幸せなまちをつくりたい。せっかく流山を選んだのだし、当事者として足りないところが見えるなら提案して補完していきたい。そのために、まちの至るところで、「こんなまちにしたいね」と、みんなと話ができたら楽しいな、そういうまちにするためにはどうすればいいかなと、ずっと考えています。
 子どもも大人も「自分のまちをこうしたい」と言っているうちに、飲み屋の常連さんやランチ仲間から、議員がばんばん出てきちゃうような、そういうまちをつくることに加担したいと思っています。理想のまちを皆でつくりたい。

この記事の著者

議員 NAVI

今日は何の日?

2025年 615

東海道線特急運転開始(大正元年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る