2020年オリンピックを視野に(荻野)
松野 皆さん、これから1期目の4年間でどのような議員を目指していますか。
荻野 私は落下傘候補として選挙に出たクチなので、今後はしっかりと地域に根ざした活動をしていきたい、というのがまず大前提にあります。選挙では、子育て世代代表として出ましたが、世田谷は待機児童が全国一です。自分の2人の息子も両方対象になりましたし、この問題に関しては何とかしないといけないと思っています。
松野 待機児童数はどれくらいですか。
荻野 今年度は、1,182名です。
また、2020年東京オリンピックでは、世田谷の馬事公苑で馬術競技をやることが決まっています。周辺整備や子どもたちのボランティア参加など、オリンピックの果実を世田谷に呼び込みたいですね。
松野 近藤さんも子育て世代ですね。
近藤 そうです。それで、こんな言い方は失礼かもしれませんが、議会で以前議論された内容であっても、実情に即していない問題については再度取り組みたいと考えています。
例えば、私は524世帯のマンションに住んでいますが、理事会など話合いの場では、話合いに慣れているビジネスマンや、男性シニア層の方が活発に発言される一方で、子育て世代のママたちの声が届きにくい、ということがありました。シニア層の女性の発言も少ないですね。
マンションでは新築当初は小さな子どもを育てている世帯が多く、共有スペースは乳幼児のための遊び場にしようと決められていたのですが、子どもたちが小学生ぐらいになると遊べなくなってしまいます。そこで、組合で話し合うと、「それなら、赤ちゃんも子どもも一緒に遊べるようにすればいいじゃない」という意見が出ます。よちよち歩きの赤ちゃんや小さな子どもと、エネルギーいっぱいで仲間と走り回る学童期の子どもが、同じスペースで遊ぶことは危険だとは想像できないのです。でも、もしママたちが考えたら、直感的に「危険!」と感じ、年齢によって利用時間を区切るなど、もっときめ細かな対応を考えるでしょう。
議会での地域のルールづくりも、いろいろな世代の代表、男女が参加することで、より納得性の高い、持続可能なものができる。私は新たな視点を加え、話合いを根気強くできる議員になりたいです。
松野 三雲さんはいかがですか。
三雲 私は、支援の必要な方をすくい上げる働き方をしていきたいです。行政はどうしても受動的な対応が主流で、そうした動きが苦手です。実は今回の選挙や、外でやっている訴訟を通じて、新宿を拠点に能動的な支援活動をしているNPOなどの団体の方々と知り合いになりました。そうした皆さんとも話をしながら、政策につながる活動をやりたいなと思っています。
松野 ボランティアとビジネスは切り替えが必要ですが、弁護士と議員の仕事のバランスは難しくはないですか。
三雲 いえ、法的に処理するしか方法がない仕事は弁護士として行えばよいと考えていれば難しいことはありません。例えば相続や紛争の処理をするには、委任契約をつくって、自分が代理人だという前提で何がしかのお金を払っていただき、初めて働けるわけです。
一方、生活相談などは別です。こんなことがありました。自治会で意見を言いたいというお年寄りがいらっしゃって、お話を聞くと集金の仕方を変えたいという。ただ、どうも現在のルールの方が合理的なように思えました。でも、ご本人がどうしても提案したいと希望されているので、「分かりました」と言って、「私がワープロ打ちをお手伝いしますから、口頭で言ってください」とお願いしました。その文書を、自治会の場で議長などしかるべき方に渡してみたらどうですかとご提案したら、とても喜んでくださいました。ただし、私の意見は一切入っていませんから、という(笑)。
先輩からのアドバイス【自分だけの得意分野を持とう】
弁護士にも民事事件に強い人、刑事事件に強い人など特色がありますが、議員も自分の得意なテーマをどう決めるかが大事なポイントになります。オールマイティにやろうとすると、どうしても時間が足りなくなってしまう。三雲さんのように、NPOなどの外部ブレーンと一緒に活動することで、アイデアを膨らませていくこともとても良い取組ですね。
また、一から勉強しようとすると相当の時間もかかりますが、議員研修などで誰かが過去にまとめたレジュメを読んだり、政務活動の一環として学会や研修会に実際に足を運んで要点を聞くと、短時間にたくさんの情報を吸収でき、ネットワークも広がります。ワーク・ライフ・バランスの観点からも、時間を有効に使えるのではないでしょうか。(松野)