「やぶ蛇」だったらどうしよう(三雲)
三雲 私が一番困ったのは、役所の役割分担や横の連携などの内部関係です。いろいろな話が出てきたときに、まだ誰に何を聞けばいいのかというのが分からない状態です。それをまずしっかり頭に入れる必要がある。ですから人脈づくりが課題だと思っています。
もうひとつ困っているのは、これまで問題となっている事柄について、どういう議論が庁内あるいは議員間でなされてきたのか、過去の歴史を知らないことです。それをまずしっかり理解した上で、自分の考え方を述べられるようにしないと、余計なことを言って、やぶ蛇になるのではと、悩んでいるところです。
荻野 私が0歳児保育について質問したときも、後から「あの観点は全部間違いというわけではないけれど、これまでの会派のスタンスからすると、ちょっと言い過ぎなところもある。そこは気をつけて」というようなことを言われました。
近藤 私は、これまでの経緯などは会派でいったん共有しつつ、そこでもんだので、そのあたりは動きやすかったと思います。私の会派は世代が幅広く、元職員だった70代で5期目のベテラン議員や、私と同世代で3期目の方が会派の代表を務めていて、よく面倒をみていただいており、初めての一般質問の原稿も事前に添削してもらいました。
松野 近藤さんは、前例はあまり気にせずに済んだのですね。
近藤 そうですね。もともと市民活動をやっていたので、むしろ市民のときにはすごくクレーマーだったという……。もっと過激なことを言っていたかもしれない。
先輩からのアドバイス【新人には先例にこだわらないチャレンジが許される】
議会におけるこれまでの議論の積み重ねも知った上で、自分の意見を付すという謙虚な姿勢も大切ですが、結論からいうと新人はそんなに気にしなくてよいと思います。なぜなら、選挙の改選によって、皆さん自身だけではなくて、議会全体の構成が変わっているからです。新たに有権者から信任を受けたメンバーでスタートしたのですから、新しい議事機関として議論を重ねていけばよいからです。
ただ、そうはいっても過去の議論の経緯を知らないより知っていた方が、議論をする際に知識が武器になることもあります。そこで、皆さんには、ぜひインターネットの会議録検索を有効活用してほしいと思います。もちろん会議録だけではなくて、普通にネット検索も必須です。その上で、字面だけでは分からない、その当時の雰囲気や質問していた議員と首長の関係性などを、生き字引的な人に聞いてみる。そんなアプローチもしてみることをお勧めします。(松野)
――(下)につづく――
(1) 流山市福祉手当の支給に関する条例(平成19年流山市条例44号)。
(2) カナダの非営利団体TEDが開催する、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物の集まる大規模なプレゼンテーション講演(http://www.ted.com/talks?language=ja)。
〈プロフィール〉
◆新人議員◆(五十音順)
荻野健司 おぎの・けんじ
世田谷区議会議員(自由民主党世田谷区議団)。1975年生まれ、40歳。早稲田大学法学部卒業後、株式会社リクルート入社。IT系ベンチャー企業の役員等を経て、ウェブコンサルティング会社を経営。家族は、共働きの妻と6歳と4歳の男の子2人。趣味は、マラソン、スキューバダイビング、サッカー観戦、育児・家事。父親育児支援のNPOファザーリングジャパンに所属。整理収納アドバイザー認定講師の資格も持つ。
http://www.oginokenji.jp/
@ogino_kenji
近藤美保 こんどう・みほ
流山市議会議員(無所属・流政会)。東京都立大学大学院建築学卒。都内のITエンジニアリングコンサルタント会社に就職。子どもを産んでも仕事は続けたいと考え、都内の子育て環境を調べていた矢先、待機児童問題の深刻さ等を目の当たりに。安心して子育てができる環境を期待して、第一子出産と同時に流山市に転入。本格的に働き始めたら地域にお世話になるからと、第二子の育児休業中にボランティアに従事。地域には様々な課題があることを知り、市議会に挑戦。家族は娘のキャラ弁づくりもこなす夫と6歳と4歳の子ども2人。
http://mihokondoh.net/
@lovehona
三雲崇正 みくも・たかまさ
新宿区議会議員(民主党・無所属クラブ)。1977年生まれ、38歳。東京大学法学部卒業後、「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」に勤務し、金融規制、会社法務やコンプライアンス等の法務を手がける一方、第二東京弁護士会の人権擁護活動に取り組む。2011年から2013年にかけて、英国エジンバラ大学ロースクールに留学。帰国後、前衆議院議員・海江田万里氏の政策担当秘書を経て、「三雲崇正法律事務所」を開設。刑務所の医療問題やヘイト・スピーチ問題等に取り組むとともに、地域の人々のための弁護士としても活動中。家族は妻と子ども2人。仕事好きで事務所からなかなか家に帰らないと言われるのが悩み。
http://mikumo-t.tokyo/profile.html
https://www.facebook.com/mikumo.takamasa
@TakamasaMikumo
◆アドバイザー◆
松野豊 まつの・ゆたか
前・流山市議会議員。1969年生まれ、45歳。麗澤大学地域連携センター客員研究員、 NPO法人ドットジェイピー顧問。現職時代は議会基本条例策定特別委員長、議会運営委員会委員長、議会活性化推進特別委員長、広報広聴特別委員長、その他ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟初代共同代表、せんたく「地方政府創造会議」議員連合事務局長補佐などを歴任。1988年麗澤高等学校卒業、株式会社リクルートに入社。企業の人材採用戦略立案や組織風土改革に従事。1999年、29歳で流山市議会に初当選。2015年5月任期満了をもって議員を「卒業」。家族は妻と6歳の娘と4歳の息子。
http://matsunoyutaka.jugem.jp/
@matsunoyutaka