議会のスケジュールが分からない!?(近藤)
松野 議会で困ったことや驚いたことはありましたか。
近藤 最初に驚いたのは、なかなか議会全体のスケジュールが分からなかったことです。私には保育園に通っている子どもがいるものですから、この日は子どものお迎えをお願いしなければいけないとか、そういう大事なスケジューリングが非常に困難な仕事なのだと思いました。そして、議会が始まってみると、今度は終わりの時間が分からない(苦笑)、そこは本当に苦労しました。
先輩からのアドバイス【議会スケジュール掌握の奥の手】
議会によっては、あらかじめ年間スケジュールを議員に共有しているケースもあるようですが、近藤さんの所属されている流山市議会のように、定例会ごとに議会運営委員会を開いて会期日程を調整し、本会議の初日に議決をして決定するケースも多く、議員は調整が大変です。定例会前に議会事務局にスケジュールを聞いても「まだ、分かりません」という返答が返ってきます。これは職員からすれば、議決していないものを決定事項として伝えることはできないという配慮からです。そのような職員の慮(おもんぱか)りをくみ取った上で、「では、1年前の会議日程を教えてください」と言えば、資料がスッと出てきます。
定例会の日程を組むためには、関係各所とスケジュールの調整をしなければならず、実はとても大変な作業です。①招集者は市長ですので、市長部局から招集予定日も含めた年間スケジュールが庁内決済を経て各部局に告示されます。②その後、議会事務局は定例会の会期日程の決定権者である議長に調整を図ります。③議長決済を経た後に議会運営委員長との確認すり合わせをし、④議会運営委員会を経て、⑤本会議での議決という流れです。
ちなみに流山市議会は数年前から、前定例会の最終日に開催される議会運営委員会で、次の定例会の日程(案)を配布する形式をとっています。会議や委員会の終了時間については議案の上程数や内容、質問や討論をする議員の人数や回数、答弁の長さによっても変わるため、なかなか読み込むことが難しいものです。ただ、議会事務局や議員の中でもベテランになってくると過去の傾向から、終わりの時間を予測できるようになってきます。困ったときには、ベテランの職員や議員さんに聞いてみるとよいかもしれません。(松野)
近藤 それから、議会は言論の府ということで、何でも言葉にしなくてはならないということを改めて認識しました。通常ビジネスマンのプレゼンでは、パワーポイントなどで資料などを作成して、ビジュアル付きで説明をすることが多いのですが、そこを言葉だけで説明するとなると、ごまかしが利ない。いろいろと勉強したり議論などを経て、一般質問に臨む必要があります。また、私は議会の傍聴経験があったのですが、外から見ていた情報量と、中から見る情報量は全く違うことにも驚きました。一般質問は市政に対する提案の場、まるでTED(2)のようなプレゼンの場のようだと思いました。議員が一生懸命事前に調査して、執行部に投げ、知恵比べをします。お互い詰めて、詰めて、ここまでやるという、それが一般質問の醍醐味(だいごみ)かなと。議員の皆さんは、自分の首をかけてそれをやっている。各議員の発言には特色があり、議会はまさにプレゼン大会。とてもエキサイティングという印象です。
母として妻として、ワーク・ライフ・バランスが課題(近藤)
近藤 先ほど三雲さんから議員としてのバランス感覚のお話が出ましたが、バランスをとれる状況というのは、全体を俯瞰(ふかん)し、その中で優先順位を決められる状態だと思うんですね。でも、それがまず難しい。まだ新人ですから、分からないことが分からなかったり、勉強しなければいけないこともたくさんある。手探りなのに、ひとりでやり過ぎてしまうと、失敗する場合もある。ルールを外れると痛い目に遭う。
ちなみに、私はワーク・ライフ・バランスが課題です。自分の最低限の予定も分からない。自分の裁量ではまだまだ見通しが立たないことも多いので……。
(編集部) ご家族の協力はどうですか。
近藤 うちの主人はかわいそうなんです(笑)。もともと自分は亭主関白になるだろうと思っていたようですが、結婚当初から家庭や育児はフィフティ・フィフティ、今はフィフティどころではないと思います。
(編集部) 荻野さん、三雲さんは共働きですか。
荻野 うちはそうです。
三雲 うちは専業主婦なので、そういう悩みはないですが、逆に家に帰ってこないと言われています。議会がないのに自分の事務所に引きこもっていると(笑)。
松野 結婚何年目ですか。
三雲 来年の1月で10年です。
近藤 一緒です!