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2019.03.11 なり手不足

定員割れによる再選挙──群馬県昭和村議会議員選挙

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  自治体議員の選出は選挙によるが、実際に投票になるのは立候補者が定数を上回る場合である。同数なら立候補者全員が無投票当選となる。定数を下回っても、欠員数が定数の6分の1以下であれば全員が無投票当選となる。この無投票当選をどう考えるか。
 立候補者が、定数と同数か、それ以下でも欠員数が定数の6分の1以下であれば、選挙を行わず候補者全員を当選させてしまうことになる。告示日には立候補届出の受付けが行われ、立候補者数が定数と同数か、定数以下ならば、全員が無投票当選となる。選挙運動は、告示日に立候補の届出が受理された時から行うことができるから、立候補者は準備をして運動を開始する。しかし、立候補届出が終わって無投票当選が決まった段階で運動は中断される。定数を超える届出があって選挙戦を展開し当落が決まるまでの費用と手間と不安を考えれば、普通は、無投票当選に越したことはないと考えるだろう。選挙という民主的手続が立候補者から歓迎されているとは限らない。
 しかし、6分の1の壁を越えられず、欠員分の再選挙、再々選挙ともなれば、内心、無投票当選でよかったと安堵(あんど)ばかりもしていられない。少なくとも欠員数が定数の6分の1以上であれば、議会自体が成立しないからである。議会が成立しないほど立候補者が出てこないということであれば、議会と議員の存在理由が問われかねない。
  定数に満たない立候補者数しかいなければ、その立候補者全員を当選したものとみなすわけである。「みなす」ことを擬制というが、あたかも選挙があって全員が当選したかのように扱うのであるから、これは「カラクリ」である。どうして、これが許容されるのかといえば、選挙で選ぶ目的が議会を成立させることにあるからである。投票であろうが無投票であろうが、条例定数の議員数が確保できれば議会は成立する。その限りにおいて、全員が無投票当選であっても、致し方のないことであるといえる。
 しかし、投票なしで当選が決まるというのは民意の付託があったとはいえず、その限りにおいて民主的な代表者の決まり方とはいいにくい。定数以上の立候補者が出て、選挙戦になり、投票の結果、当落が決まるのが望ましい姿であろう。民主制は、代表者を有権者の投票によって選出する制度である。選挙が議会を成立させることを目的としていることを考えれば、無投票で代表者が決まるのもやむをえない措置であるといえよう。しかし、定数以上に立候補者が出てこないことは、議会の成立に影を落としている。議員になりたいと考え、立候補する人が少なすぎるといえるからである。
 これまで、自治体議会の議員選挙で無投票当選が多いことが問題視されてきたが、それでも議会は成立してきた。いよいよ、当選者数が6分の1の壁を越えられず、再選挙となり、もしそれでも越えられず再々選挙ともなれば、議会の成立が遅れ、自治体運営に遅滞が予想され、事態は深刻化する。無投票当選でいいとはいえないが、せめて欠員数が定数の6分の1以下になる数の立候補者が出てくるような機運を地域住民の間に生み出す努力が必要である。
 議会なしに自治体の自治は成り立たないという共通認識を持てるよう、議会と議員のあり方に関する一大住民集会を開催してはどうであろうか。。

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