2019.02.18 議会改革
【浦幌町議会】総務省「町村議会のあり方研究会」報告書に対する検証を公表。
北海道浦幌町議会は2019年1月29日に「町村議会のあり方に関する研究会報告書の検証」を公表しました。
昨今の特に町村部を中心とした自治体議員のなり手不足問題を受け、総務省は2017年~2018年にかけて研究会を設置し、今後の議会のあるべき姿を検討、報告書を2018年4月に公表しました。同報告書が自治体議会全体で議論を呼んだのは記憶に新しいところです。『議員NAVI』誌上でも様々な形で取り上げました。
今回の浦幌町議会の検証は、上記の総務省報告書への現場からの一つの回答となります。今回の検証を実施した経緯などについて、浦幌町議会事務局にお伺いしました。(編集部)
――今回の検証資料の作成の意図や動機はなんでしょうか?
平成27年4月の統一地方選挙で欠員となった浦幌町議会は、第2次議会の活性化で議員のなり手不足解消を最優先課題として、議会の立場でなり手不足の検証と取り組みを通じて、町民とともに今後の議会のあり方やよりよいまちづくりを考えていくもので、町民2000人を対象としたアンケート調査、意見交換、情報提供を図り、なり手不足検証報告書の作成・公表、国に対して意見書や要望書の提出をしたところです。
一方、総務省は「町村議会のあり方研究会」を設置し、議員のなり手不足解消に向け検討を進めましたが、残念ながら、「町村議会のあり方研究会報告書」では、浦幌町議会の意見書や要望書は反映されず、現行制度を維持しつつも2つの新たな議会を提起したことから、浦幌町議会の実態に即し、その効果、課題・問題点を検証することでその本質を探るとともに今後の議会運営に反映していきたいと考えたからです。
――どのくらいの期間をかけて、どのような体制で作成されましたか?
平成30年3月26日に町村議会のあり方研究会報告書が公表され、あわせて全国町村議会議長会や全国市議会議長会が意見表明をされました。
浦幌町議会では、議会運営委員会を中心に「町村議会のあり方研究会報告書」内容を全議員で把握し、全国町村議会議長会の報告書に対する意見の項目ごとに、浦幌町議会の議員のなり手不足検証報告書、意見書、要望書並びに独自の取り組みから見解を整理しました。その後、4月から12月にかけて議会事務局を中心に2つの議会(集中専門型・多数参画型)を浦幌町に導入した場合の効果、課題・問題点の整理をしました。
平成31年1月に議会運営委員会、議員協議会で協議するとともに、議会事務局が一体となって検証資料の作成・公表となりました。
――今回の検証を踏まえて、今後どのような取組を考えていますか?
浦幌町議会としましては、今年4月の町議会議員選挙に向けて引き続き議員のなり手不足解消に向けた取り組みを進めるとともに、議会改革や活性化以前に、議会としての権限や機能を発揮し、住民福祉の向上のための議会活動をしっかりと確認し進めていくことが、今回の検証からも重要であると感じました。
今後は、もう一度原点に立ち返り、議会のあるべき姿を捉え、改革や活性化がそれを補完する制度として活用し、議会運営に努めて行きたいと考えています。
――他の議会へのメッセージをお願いします。
町村議会のあり方研究会報告書で提起する2つの議会が、実際に導入されるとなった場合、今後の町村議会や町村の振興発展に大きく影響を及ぼすことが予想されます。
浦幌町議会が検証した資料は、あくまで町の実態に即して作成したものでありますが、このことが少しでも他の議会で、協議のきっかけや参考になればと願っております。
全国の町村議会と情報を共有しながら、ともに今後の町村議会のあり方を模索していきたいと思います。
〔資料〕
●浦幌町議会HP「町村議会のあり方に関する研究会報告書の検証をしました」
・総務省-町村議会のあり方研究会報告書の検証-浦幌町議会の実態に即して-
・浦幌町議会「町村議会のあり方研究会報告書」検証解説書
〔『議員NAVI』関係記事〕
・地方議会のゆくえ(上)──総務省「町村議会のあり方に関する研究会 報告書」を読む──
・新ギカイ解体新書『町村議会のあり方に関する研究会報告書』について(その1)