2019.02.12 政策研究
第25回 住民自治を進める会派・地域政党の構築(上) ――〈住民、会派・地域政党、首長〉の三者間関係から考える――
(2)存在する多様な会派
筆者が議会運営の「コペルニクス的転換」と位置付けている議会基本条例を全国で初めて制定した北海道栗山町議会では、「会派がないから討議が十分できた」(中尾修議会事務局長(当時))と評している。会派による拘束は、討議を重視する議会にはなじまないというイメージである。また、議会改革の実践の中で三重県鳥羽市議会は会派制を廃止している。従来の会派制には問題があったからである。とはいえ、会派は現実に存在し続けるであろうし、後述するように積極的な意義もある。
市議会では会派制を採用している議会がほとんどである。市議会で会派制を採用している自治体は、736自治体(90.4%)だ。人口区分では、人口規模が小さい小規模自治体だけが会派制を採用していない(78自治体)。5万人未満23.2%、5~10万人未満5.5%、10〜20万人未満0.6%が会派制を採用しておらず、それ以上の人口を有している自治体はすべて会派制を採用している(全国市議会議長会「平成30年度 市議会の活動に関する実態調査結果(平成29年1月1日~12月31日)」2018年11月)。
反対に、町村議会では会派制を採用していない議会の方が圧倒的に多い。会派がある町村は145町村(15.6%)であり、会派制をとっていないのは782町村(84.4%)である(全国町村議会議長会「第63回 町村議会実態調査結果の概要(平成29年7月1日現在)」2018年2月)。人口規模と定数が連動していることを考慮すれば、定数が少ない自治体が会派制を採用していない。
なお、都道府県では「会派は、議会の内部において組織される議員の団体であり、特に都道府県議会の運営においては、実質的にこの会派を単位として協議され、また、議員はその所属会派の一員として活動することになる」と会派制を当然視している(全国都道府県議会議長会「全国都道府県議会の組織、運営の実態」)。
表2は、地方議会議員の所属政党構成比である。これが示唆するのは、大規模議会では、全国政党会派が多数を占めていること(都道府県、特別区の欄を参照)、無所属であっても会派に属することである(会派制の採用と無所属の多さから推測できる(市議会))。