2019.02.12 政策研究
第25回 住民自治を進める会派・地域政党の構築(上) ――〈住民、会派・地域政党、首長〉の三者間関係から考える――
〈新たな議会における新たな会派の要素(Ⅰ~Ⅴ)〉
【政策集団(会派の要素Ⅰ)
共通の理念や政策を持ち、その実現のために組織する。ポスト獲得だけの仲良しクラブ(同期だから等)ではない。また、同一政党に所属していても地方独自の争点を意識した集団の形成はある(ポスト獲得争いのためだけではない)。
【影響力行使の集団(会派の要素Ⅱ)】
議会内及び行政に対して、公的な場で影響力を行使することを目指す。後述の水面下での行使とは異なる。その際、「公的な場」のルール化を行う。
【議員間討議のエンジンとしての集団(会派の要素Ⅲ)】
会派が個々バラバラに行政と向き合うとその影響力は弱い、あるいは未確定(分からない)である。そこで、議会として論点を明確にするためにも合意を形成し、行政に対応するためにも議員間討議を推進する役割を担う。「会派は、政策立案、政策決定、政策提言等に関し、会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする」(三重県議会基本条例5②)という趣旨に合致する。
【説明責任を重視する集団(会派の要素Ⅳ)】
政策集団であるとすれば、選挙時にも登場しなければならない。マニフェストを中核とした事前と事後の評価が必要であり、説明責任が伴う。なお、議会は討議の場であるがゆえに、また選挙時のマニフェスト支持が全有権者からのものではないがゆえに、変更もあり得る。そのために、会派・個人の後援会だけではなく議会報告会・住民との意見交換会を重視する。
【尊重される少数集団・単独(会派の要素Ⅴ)】
交渉会派という規定は必要な場合もあるが、その対象にはならない少数会派・単独議員の意見も尊重する。少数意見の尊重といった一般的な意味だけではなく、議員選挙は会派(政党)選挙ではなく、個人名を記入する選挙だからである。