2019.02.12 政策研究
第25回 住民自治を進める会派・地域政党の構築(上) ――〈住民、会派・地域政党、首長〉の三者間関係から考える――
従来の会派は、議会内で活動する同一政党に属する者又は志を同じくする者の集合体を指している。この会派にとって、同じくする「志」とは何か、地域政策集団であるかが問われるはずであるが、これまでその指摘は希薄であった。また、同一政党に属するとはいうものの、国政上の争点による分岐(亀裂線)から生じる政党と地域の争点における分岐(亀裂線)は異なる(少なくとも同じではない)。そのため、同一政党に属しているからといって同じ会派に属するわけではない。本連載の問題意識は、地域政策集団としての会派であり、そのための分岐は念頭にあるが、ポスト獲得のためだけの分岐は肯定していない。
そして、従来の会派の定義は、議会内の影響力を重視した定義でもある。その活動の力点は〔影響力を行使するために〕議長ポストの獲得にある。実際は議長のほか、副議長、議選監査委員、委員会委員長・副委員長のポスト獲得争いに専念することになる。二元的代表制からすれば、会派は重要ではあるが、会派間の競合だけでは議会が分断されるという弊害がある。そこで、会派間討議を踏まえた「人格を持った議会」を形成する。したがって、リーダーシップを発揮する議長等を選出するようになる。
つまり、従来の会派とは異なり、今後の会派は政策集団であり、二元的代表制を作動させるためのリーダーを選出する役割を担う。本連載では、これらの転換とともに、議会内で活動する会派だけではなく、(後援会の充実を超えて)住民との接点を重視する役割を強調する。選挙や住民参加に会派を位置付ける。
結論を先取りすると、二元的代表制における会派には次の要素が想定される。なお、要素ⅠとⅡは従来の定義と重なるが、現代的位置付けをしてその意味を豊富化している。会派Ⅲ~Ⅴは新たな要素である。