2019.02.12 政策研究
第25回 住民自治を進める会派・地域政党の構築(上) ――〈住民、会派・地域政党、首長〉の三者間関係から考える――
(4)国政政党会派による阻害要因の加速
国政政党会派が大規模議会では一般的である。選挙において公認候補が多いこともある。また、都道府県議会議員の選挙区は、1人区、2人区が多く、政党会派所属の候補者が競合しないこともある(ただし、公認をとれないこともあるが、政党色を曖昧にして無所属で立候補し、当選後に政党会派に所属することもある)。
政党会派は、求心力はある。すでに指摘した会派形成の「要」として政党が存在しているからだ。とはいえ、それが地域政策集団と同列と考えるのは、早計である。国政の争点とは異なる地域の争点をえぐり出し、解決の方向を政策として示すことができて初めて地域政策集団といえるからである。
また、「要」があっても、政党会派への所属は離合集散とはいわないが分裂することもある。すでに指摘した当選と議会内影響力の行使のためである。
さらに、議員・会派と首長等との水面下についての活動は、政党会派が定着している大規模議会ではより一般的になる傾向がある。首長を支援(単独公認ではなく、推薦が多くなっている)することで、首長支持と反対が明確になり、支持派の意向を水面下で考慮するからである。もちろん、支持派・反対派は固定したものではなく、反対派が任期途中で支持派にくら替えする場合もある。
(1) 会派は、地方議会のほとんどで活動しているが、法律(地方自治法)上、会派が認知されたのは、それほど古くはない。2000年改正で、政務調査費の項で登場したものである(自治法100⑫・⑬(当時。なお、その後、政務活動費に名称改定されている(自治法100⑭・⑮)))。
(2) 国政の政党は、一般に同一の理念・政策を持って政権獲得を目指す集団として定義付けられる。前者の要素を継承しつつ、二元制を意識して首長ではなく議長の獲得を目指すという規定にしているのであろう。従来の会派には適合的な定義である。なお、引用文の後にすぐ「つまり議員は、自分の所属する党派により又は所属党派には何の関係もなく、志を同じくするものが集まって自然発生的に会派を結成する。したがって、議長の許可やその統制下にあるものではない。会派の結成には会派が議会内における交渉団体の性格があることから、その資格として通常何人以上の所属議員がいなければならない」が続いている。
〔参考文献〕
◇江藤俊昭(2011)『地方議会改革─自治を進化させる新たな動き』学陽書房
◇江藤俊昭(2013)「地域民主主義と地域政党」月刊ガバナンス2013年7月号
◇金井利之(2013)「《地域における政党》と『地域政党』」自治総研419号
◇白鳥浩(2013)『統一地方選挙の政治学─2011年東日本大震災と地域政党の挑戦』ミネルヴァ書房