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2019.02.12 政策研究

第11回 議会が無作為抽出型の住民協議会を主催する~岡山県新庄村~

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無作為抽出型住民協議会に新しい議会・議員の姿を見た

 新庄村での無作為抽出型住民協議会を取材して感じたことが2つある。1つは、地方議会の新しい型(モデル)になりうるとの実感だ。2018年に総務省の「町村議会のあり方に関する研究会」が2つの新たな類型の議会像なるものを示した。少数・専業議員と議会参画員を併設する「集中専門型」と、多数・兼業議員による「多数参画型」である。ともに議員のなり手不足対策として提示されたものだが、地方議会関係者などから猛反発を受けてしまった。2つの理由からだ。1つは、上から目線での改革案で、地方自治の本質を理解していないように思われたからだ。そしてもう1つは、議員のなり手不足の真の要因に切り込まなかったため、机上の制度論でお茶を濁しているように見られてしまったからである。提示された2つの新たな議会像は、むしろ議会力のさらなる低下を生むと、現場で奮闘する地方議会人らの怒りを買ってしまった。議会本来の役割を果たすための建設的な提案だとみなされなかったのである。だが、現状のままで議会の本来の役割が果たせるかどうか疑問である。もっとも、議会の仕組みを変えても担う人が変わらなければ、役割を果たす議会になるはずもない。しかし、地方議会の劣化が加速していることは間違いなく、その要因の1つとして様々な制度疲労があることも疑いようがない。新たな仕組みづくりを模索することも必須となっている。否、喫緊の課題といってよいだろう。
 そうした観点に立つと、「町村議会のあり方に関する研究会」が提示した「集中専門型」議会は、価値ある提案だと考える。少数の専業プロ議員と住民の中から無作為抽出で選ばれた議会員が協力して、チェックと民意の反映、そして政策提言を担うというものだ。構想日本が提唱し、実践している無作為抽出型住民協議会(自分ごと化会議)の姿に近いのではないだろうか。中でも議会主催による新庄村の取組みこそが、その先駆けといえないだろうか。例えば、テーマごとに無作為抽出で住民を集め、議員と話合いを重ねる協議会を複数、設置してみたらどうだろう。つまり、同時進行で複数の住民協議会を開くのである。その場合、何よりも重要となるのが、会を運営し、進行するコーディネーターである。伊藤さんの役割を担う人の存在だ。住民の意見を上手に引き出し、建設的な話合いを進め、出された多様な意見をきちんととりまとめる力量が何よりも不可欠となる。極めて難しい役回りである。そうしたコーディネーター役を務めるのが、地方議員のこれからの役割となるのではないか。これが、新庄村での取材で感じたもう1つのことだ。新庄村議会が主催する無作為抽出型住民協議会に、未来の地方議会と地方議員の姿を見たのである。

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